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資金調達はどの方法を選ぶ?起業時のおすすめ資金調達法17選
資金調達の方法について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
どこから調達するべきなのか、また、調達するには、どのような方法があるのかなど、不安や疑問が多いでしょう。
今回は、起業するために必要な資金調達についての方法、また、メリット・デメリット等について、やさしく解説していきます。
ご参考になれば幸いです。
1、資金調達方法について知る前に|資金調達が必要なケース
資金調達が必要なケースとして考えられるのは、やはり起業時かと思います。
起業時には、土地や建物、新たな設備や機械等を準備するために、ある程度の資金が必要となることが多いからです。
また、立ち上げた事業を存続させていく際にも、やはり設備投資や人件費等に資金が必要となるでしょう。
2、資金調達方法は業種によって様々
特に、ベンチャー企業やスタートアップ企業では、世の中にないものを新たに生み出していく必要があるため、事業を開始する際には、一定の費用をかけ、その後回収していくというケースも多いかと思います。
起業当初は赤字、その後一気に黒字化していく、というスケジュールです。
このケースでは、借入れによる資金調達はあまり向きません。
黒字になるまで返済が厳しいからです。
といっても、飲食店等のスモールビジネスでは、事業を立ち上げる際に一定の費用がかかりますが、比較的短期で返済できる見込みがあるため、資金の調達先はベンチャー企業のそれとは変わってくるでしょう。
つまり、銀行等からの借入れによる資金調達も、比較的受け入れやすい傾向にあると言えます。
このように、企業の種類によって、自社にどのような資金調達方法が最適なのか、選択する必要があります。
3、資金調達の方法は大きく2種類に分けられる
資金調達方法には様々な方法がありますが、大きくは、以下の2種類のカテゴリーに分けられます。
(1)返済の必要がある資金調達方法
1つ目は、返済の必要がある資金調達方法です。
返済の約束をした上で、第三者から借入れや社債の発行(負債)によって、資金を調達する方法です。
この方法を、『デット・ファイナンス』といいます。
デット・ファイナンスのうち借入れには、主に以下の方法があります。
- 消費者金融等からの借入れ
- 家族や知人、友人等からの借入れ
- 銀行からの借入れ
- 信用金庫からの借入れ
- 制度融資での借入れ
- 日本政策金融公庫からの借入れ
- マル経融資での借入れ(※)
※商工会議所や商工会から、低い金利で融資を受けられる制度
(2)返済の必要がない資金調達方法
返済の必要がない資金調達方法もあります。
それが、『エクイティ・ファイナンス』です。
エクイティとは資本のことで、株式を発行することにより、資本の形で、資金調達をする方法です。
エクイティ・ファイナンスには、主に以下の方法があります。
- 自己資金
- 従業員持株会
- 他企業からの出資受入れ
- ベンチャーキャピタル
4、資金調達の方法とそれぞれのメリット・デメリット
資金調達の方法は、デット(負債)・ファイナンスと、エクイティ(資本)・ファイナンスに分けられると解説しました。
ここでは、資金調達方法毎のメリットやデメリットについて、解説していきます。
(1)デット・ファイナンスのメリット・デメリット
①消費者金融等からの借入れ
【メリット】
- 即日に借入れることも可能
消費者金融のメリットは、手続が簡単で、審査も速いため、場合によっては、即日の借入れも可能です。無担保・無保証での借入もできます。
【デメリット】
- 利息が高い
手続が簡単で、審査のスピードも早いため、利息が高くなります。
そのため、起業時の資金を消費者金融からの借入れで補うのは、できれば避けたいところです。
②家族や知人、友人等からの借入れ
【メリット】
- 融通が利きやすい
親族や友人等であれば、借入れをする金額や利息、返済期間等、交渉によって、ある程度自由に決めることができます。
状況に応じて、変更してもらうこともできますね。
- 経営の自由度が保たれる
起業のための資金を出してくれたとしても、親族や知人であれば、経営に関しては、口出しをしてこないでしょう。
そのため、ご自身の経営の決定権を維持することができます。
【デメリット】
- 関係性が壊れるおそれがある
近い関係性だからこそ、お金によるトラブルは避けたいところです。
大きなトラブルになりやすいので、それを理解した上で、知人等からの借入れを行うことが大切です。
③銀行からの借入れ
【メリット】
- 利便性が高い
特に大手銀行等では、支店数も多いため、利便性が高まります。
- 信頼が高い
銀行からの借入れは、審査が厳しいため、対外的な信頼を得ることも可能です。
【デメリット】
- 借入れのハードルが高い
起業時は、審査のハードルが高いです。
起業直後や中小企業では、なかなか調達は難しい場合もあります。
- 時間がかかる
審査も厳しく、また、手続も複雑なため、実際に融資を実行するまでに、多くの時間が費やされる可能性があります。
④信用金庫からの借入れ
【メリット】
- 借入れのハードルが比較的低い
地域に根付いているため、起業時や中小企業にとっても、審査のハードルは比較的低いでしょう。
- 顧客を紹介してくれることも
地域密着ということで、親身に対応してくれることが期待できます。
顧客やビジネスパートナー等を紹介してくれることもあるでしょう。
【デメリット】
- 会員になる必要がある
信用金庫から融資を受けるには、まず、こちらが出資して、その会員にならなければなりません。
- 銀行ほどの利便性はない
地域密着型ということで、店舗の数も少なく、銀行ほどの利便性はありません。
⑤制度融資での借入れ
【メリット】
- ゆとりをもった返済が可能
借入れ当初は、元本の返済が免除されているため、返済の負担が少ないことが特徴です。
- 審査が通りやすい
地方公共団体、金融機関、そして信用保証協会の3者が協力して行う融資制度のため、自治体の斡旋を受けています。
その結果、比較的審査は通りやすいと考えられます。
- 金利が安い
金融機関からの借入れに比べて、公的融資に当たるため、金利がとても低いのが特徴です。
【デメリット】
- 手続に時間を要する
地方公共団体、金融機関、そして信用保証協会の3者が協力して行うため、手続に時間がかかり、実際に融資を受けるまでに、時間を要してしまう可能性があります。
- 信用保証協会への支払も発生する
信用保証協会の保証を受けるため、保証料の支払が別途必要となります。
⑥日本政策金融公庫からの借入れ
【メリット】
- 金融機関よりも条件が良い場合も
他の金融機関よりも低金利で、また、貸付条件も整っている場合が多いです。
- 審査が通りやすい
起業したばかりの頃や中小企業では、通常は、金融機関の審査は通りにくいです。
その点、日本政策金融公庫では、審査の可決率が高く、起業直後や中小企業にとって、ハードルの低い資金調達方法だといえます。
- 無担保・無保証での借入れが可能
原則として、代表者の保証も不要です。
【デメリット】
- 融資までの日数がかかる
他の金融機関よりも、審査のハードルは低いですが、その反面、実際に融資を受けるまでに時間を要する場合があります。
⑦マル経融資での借入れ
【メリット】
- 無担保・無保証での借入れが可能
保証人や担保が必要ないので、無理なく借入れをすることが可能です。
- 利息が低い
他の金融機関よりも、低い利息で借入れすることができます。
- 指導や相談を受けられる
資金の調達だけでなく、商工会議所や商工会の経営指導員から、経営指導を受けることができます。
【デメリット】
- 経営指導を6か月以上受ける必要がある
マル経融資を受けるためには、経営指導を6か月以上受けた経験が必要となります。
- 1年以上の創業期間が必要
マル経融資を受けるためには、創業後1年以上が経過していなくてはなりません。
- 借入れの限度額がある
マル経融資から借入れをする際は、2000万円という限度額があります。
(2)エクイティ・ファイナンスのメリット・デメリット
①自己資金
【メリット】
- 自由度の高い経営を行うことができる
自己資金が他の出資よりも多い場合には、出資者である自分の経営権が保たれます。
そのため、決定権が自分にあり、自由度の高い経営を行うことができます。
- 毎月の返済を心配する必要がない
自己資金の場合には、返済の負担がなく、毎月の支払を心配する必要がありません。
- 金融機関等からの融資を受けやすい
自己資金を自ら用意したということで、起業に対する真剣度や、起業に対する強い気持ちを、資金の貸し手側に評価してもらえます。
それにより、金融機関等から借入れをする際に、審査で有利な考慮要素となることが期待できます。
【デメリット】
- 限界がある
自己資金だけでは、事業を拡大させるためにはやはり限界があります。
また、必要な資金を用意するまでに、時間がかかってしまうおそれがあります。
- 個人資産を失う可能性がある
万一、事業を清算した場合、自己資金を回収することができないため、個人の資産を失ってしまう危険性があります。
②従業員持株会
【メリット】
- 従業員のモチベーションアップが期待できる
従業員持株会とは、従業員が会社の資本金を出し合う方法で、持株会として、従業員が会社の株式を保有する仕組みです。
将来的には、会社の業績が上がれば、株式価値も上昇するので、従業員のモチベーションアップが期待できます。
- 安い価格で株式を購入できる
会社の株式を安い価格で購入でき、会社が上場した際には、大きなリターンが期待できます。
- 定期積立ができる
毎月の給料から天引きする形で、定期積立をすることもできるため、手間をかけずに始めることが可能です。
【デメリット】
- 運営に手間がかかる
従業員持株会は、組織や規約を作成する必要があるため、その分手間がかかります。
- 退職時に株式を買取る必要がある
非上場会社で、従業員が退職する際には、従業員が保有していた株式を、持株会において、現金で買取る必要があります。
③他企業からの出資受入れ
【メリット】
- 大きな出資が期待できる
他企業からの出資受入れの場合、今後の提携等も考慮して、大きい金額の出資が期待できます。
- 資金以外での協力が期待できる
他企業からの出資受入れでは、資金調達だけでなく、技術的な面や人的な面、営業の面等での協力が期待できます。
【デメリット】
- 経営権を奪われる危険性がある
他企業からの出資が多くなると、その企業の発言力が強まります。
すると、自由に経営を進めることができず、思うような経営ができなくなる危険性も考えられます。
④ベンチャーキャピタル
【メリット】
- 多額の資金調達が期待できる
ベンチャーキャピタル(ベンチャー企業に対するハイリターンを目的とした投資ファンド)から、経営方針やビジネスモデルに賛同を得られれば、実績や担保等は関係なく、資金を調達することができます。
・資金面だけでなく、経営的なアドバイスをもらうこともできます。
また、ベンチャーキャピタルの意向を受けた取締役を送り込むことで、会社の取締役会にも参加して、経営陣への的確なアドバイスや指導、提案等も期待できます。
【デメリット】
- ベンチャーキャピタルの意向に沿う必要がある
ベンチャーキャピタルは、将来的な値上がりを目的として、大きな資金を出してくれますので、経営をしていくうえで、ベンチャーキャピタルの意向や方針を受け入れないといけない場面が出てくるでしょう。
- 株式買取を求められることも
ビジネスモデルやビジョンの将来性がないと判断されてしまうと、出資金を引き揚げるために、株式の買取を求められてしまい、多額の資金がなくなる結果となり、経営を持続していくことが困難になってしまいます。
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5、その他の資金調達法
(1)補助金や助成金による資金調達
その他にも、補助金や助成金による資金調達も視野に入れておきましょう。
①創業補助金
補助金とは、国や地方公共団体が企業を支援するために、そのビジネスモデルに合った資金を提供することをいいます。
デット・ファイナンスとは違い、返済の義務はありません。
代表的なものには、起業促進、地域活性化、女性の支援、若者の活躍の支援、中小企業の活性化、技術振興等があります。
創業補助金のメリットとデメリットについて、紹介していきます。
【メリット】
- 返済の必要がない
創業補助金は、国や地方公共団体の財源から支出されるため、返済の必要がありません。
- 会社の信頼度が増す
補助金を受給できたということは、国や地方公共団体が、事業の可能性を認めたということですので、会社の信頼度も増し、今後の融資が受けやすくなるなど、会社の成長スピードが上がっていくことが期待できます。
【デメリット】
- 手続の時間がかかる
補助金を受け取るには、国や地方公共団体から、ビジネスモデル、経済への貢献度等を認めてもらう必要があります。
そのため、すぐに手続が完了するわけではなく、場合によっては、多くの時間を要してしまう可能性もあります。
②再就職手当
再就職というと、会社員から会社員になるとイメージされるかもしれませんが、会社員から起業する際にも、この手当を申請することができる場合があります。
脱サラして、起業する場合、条件を満たしているのであれば、この手当を受け取ることが賢明でしょう。
(2)クラウドファンディングによる資金調達
クラウドファンディングとは、そのビジネスモデルに賛同した人から、インターネット上で資金を集める方法のことです。
クラウドファンディングには、様々な形態があり、借入れの形態から出資の形態等、自由に資金を募ることができる新しい方法です。
近年では、このクラウドファンディングによって、ビジネスを行う企業や個人も増えています。
そのメリット・デメリットをご紹介します。
【メリット】
- 難しいプロジェクトも実現できる
今までは、実現不可能だと言われていたことも、クラウドファンディングによって、実現が可能になるケースも増えています。
インターネット上で資金を募るため、その夢やビジョンに賛同した人が増えれば、それだけ、大きな金額が集まり、困難な事業やプロジェクトを実現できる可能性も増していきます。
- 出資をした人にもメリットが大きい
クラウドファンディングでは、出資をしてくれた人に対し、さまざまなリターンが用意されています。
出資した金額によって、リターンも変わってきますので、企業側だけでなく、そのビジネスモデルを支援する人にとっても、とても大きなメリットが用意されています。
【デメリット】
- 管理が大変になる
不特定多数の人から支援を受けるということで、リターンとしての商品の発送や、場合によっては、分配金の支払など、事務的な管理が大変になることも多いです。
通常の資金調達とは異なるため、人手やスキルが必要になってくるでしょう。
6、女性・若者が起業する場合の資金調達方法
最後に、調達形態別ではなく、起業者のタイプ(女性・若者)からオススメする資金調達方法をご紹介します。
近年では、女性が起業するというケースがとても増えてきました。
そんな女性起業家を支援するための制度、また、若者が起業する際に支援する制度が、全国各地に存在します。
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
新たに事業を始める、または事業開始後おおむね7年以内の女性、35歳未満か55歳以上の男性が対象の融資制度です。
詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。
関連サイト:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/02_zyoseikigyouka_m.html
- 東京都 女性・若者・シニア創業サポート事業
都内で創業計画がある、または創業後5年以内の女性、若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)が対象の融資制度です。
詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。
関連サイト:https://www.tokyo-sogyo-net.jp/finance/support.html
- 女性おうえん資金(横浜市)
横浜市内で1か月以内に事業を開始、または2か月以内に会社を設立し、事業を開始する女性、事業開始・会社設立から5年未満の女性が対象の融資制度です。
詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。
関連サイト:横浜市経済局
まとめ
今回は、様々ある資金調達の方法について、紹介してきました。
起業する際に、もっとも頭を悩ませるのは、やはり資金繰りではないでしょうか。
その資金繰りの問題を解決し、事業を拡大させていくためには、状況に合った資金調達をしていくことが大切です。
近年では、クラウドファンディングのような画期的なサービスも出てきたり、女性や若者、それに障害者を対象にした制度もどんどん増えてきていますから、ぜひこの記事を参考に、あなたにとってベストな資金調達方法を見つけていただけたら幸いです。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています