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契約書は収入印紙を貼らないと取引が無効?印紙の基本と2つの注意点
契約書には、収入印紙を貼らないといけないのでしょうか。どうして、契約書には収入印紙を貼らないといけないのでしょうか。
税額はできるだけ抑えたいけど、収入印紙の利用方法はわかりづらいですよね。
今回は、契約書と収入印紙の今一つ分かりにくい両者の関係について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。
「契約書の作成」について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
[nlink url=”https://best-legal.jp/contract-create-22493/”]
1、収入印紙が貼られていない契約書は無効?
(1)なぜ契約書に収入印紙を貼るのか?
わが国では、一定の法的に重要な文書を作成すると、税金を納める必要があります。
税金の納め方は簡単で、郵便局等で購入した収入印紙を貼ることによって、その文書について税金を納めたことになります。
つまり、収入印紙とは、印紙税法という法律で定められている税金の納入が必要な文書について税金を納める手段なのです。
(2)収入印紙を貼ることが必要な文書とは?
収入印紙を貼ることが必要とされる文書(契約書に限りません。)は、国税庁のホームページに一覧表が記載されています。一覧表によれば文書は大きな項目で20種類に分類されています。
この中で私達の生活の中で使われる代表的なもの5種類をご説明します。
①不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
②地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
③消費貸借に関する契約書・運送に関する契約書
例:不動産売買契約書、土地賃貸借契約書、金銭借用証書など
記載された契約金額が1万円未満の場合、収入印紙は不要です。収入印紙の金額は、契約金額によって、200円から60万円の間となります。住宅やマンションを購入する場合、土地を借りる場合、お金を借りる場合などの契約書は、金額によって収入印紙が必要ということになります。例えば、300万円の金銭の借用証書であれば、2000円の収入印紙が必要となります。
なお、契約金額の記載のないものは、200円の収入印紙で足ります。
④請負に関する契約書
例:工事請負契約書、物品加工注文請書など
記載された契約金額が1万円未満の場合、収入印紙は不要です。収入印紙の金額は、契約金額によって、200円から60万円の間となります。大工さんや住宅会社に住宅の新築、改築、修理などを依頼する場合の契約書は、金額によって収入印紙が必要ということになります。例えば、大工さんに契約金額500万円の建物の工事を注文する場合、1000円の収入印紙が必要となります。
⑤売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書
例:領収書、借入金の受取書、保険金の受取書など
記載された金額が5万円未満のものや営業に関しないものは、収入印紙を貼る必要はありません。収入印紙の金額は、受取金額によって200円から20万円の間となります。5万円以上の高額の物をお店で購入した場合の領収書や、5万円以上のお金を貸金業者から借りた場合の受取書などは、収入印紙が必要ということになります。
(3)収入印紙の貼られていない契約書等は無効?
ここまで説明させていただきましたように、収入印紙を貼る必要がある契約書等は決まっていますが、収入印紙を貼る必要がある契約書等に収入印紙が貼られていないと、その契約書等は無効となってしまうでしょうか。結論を先にいうと、契約書等は無効とはなりません。契約書等の効力と収入印紙は関係ないのです。収入印紙を、どうして貼る必要があるのか思い出してください。収入印紙とは、印紙税法で定められている一定の文書についての、税金の納入方法でした。つまり、収入印紙を貼らないということは、支払いが必要とされる税金を支払っていないということを意味するだけです。
収入印紙は税金ですから、収入印紙が必要な文書に収入印紙を貼らないと、必要な税金を支払っていないということになりますので、過怠税を支払わなければならなくなります。
2、契約書に収入印紙を貼る際の注意点
(1)収入印紙は、契約書の枚数分必要
1つの契約について、「副本」、「写し」といったように、契約書を何通か作成することがあります。この場合、それらの契約書に、相手方の署名又は押印のあるものや契約当事者が正本と間違いないことを証明したものは、正本と同じように収入印紙を貼る必要があります。
(2)収入印紙には消印が必要
収入印紙が、印紙税という税金を納める方法であることはご説明しましたが、収入印紙を契約書に貼っただけでは、実は印紙税を納付したことにはなりません。契約書に収入印紙を貼った後、契約書と収入印紙の両方にかかるように消印をすることによってはじめて印紙税を納めたことになります。
3、契約書の印紙税の金額で損をしないようにするには?
収入印紙の額面は、契約書に記載されている金額が根拠となります。契約金額が1000万円の場合、金額の記載の方法としては、契約金額1000万円のうち8%が消費税と書く場合と契約金額1000万円のうち75万円は消費税と書く場合があります。前者の場合は、1000万円が契約書記載金額とみなされ、後者の場合は925万円が契約書記載金額とみなされます。
契約金額が1000万円以上か未満かで収入印紙の額面が変わる契約書の場合、上記の事例の場合は、契約書への金額の記載の方法で、収入印紙の額面金額に違いが出てくることになります。
まとめ
契約書と収入印紙の関係について、ご理解いただけましたでしょうか。契約書の全てに収入印紙が必要なわけではありませんが、多くの場合、必要とされることも事実です。また、金額の記載の仕方ひとつで、収入印紙の額面も変わってくる可能性があります。契約書を作成する場合には、収入印紙についても、同時に考えていただければと思います。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています