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顧問契約書作成にあたり知りたい7つのことを弁護士が解説
顧問契約書が必要だけれど、どのように作成すればいいのか分からない・・・
この記事をお読みの方の中には、弁護士などの士業や、技術、投資等の専門家と顧問契約を締結するために、顧問契約書が必要という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも顧問契約とはどのような契約なのか、顧問契約を締結すると何をしてもらえるのか、少しでも有利な契約にするにはどうしたらよいかなど、気になる点もたくさんあることでしょう。
そこで今回は、上記の点についてベリーベスト法律事務所の弁護士がご説明するとともに、すぐに使える顧問契約書の雛型についてもご案内したいと思います。
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1、顧問契約書の書き方について知る前に|顧問契約とは?
まず、そもそも顧問契約とはどのようなものなのか、ということから見ていきましょう。
顧問契約とは、一般的には、顧問料を対価として、何らかの専門家が、相談に応じてくれる、事務を処理してくれる、専門的な助言をしてくれる等のサービスを受けられることを内容とする契約です。弁護士との顧問契約であれば、法律相談を無料ですることができる、一般の顧客に対しては受け付けていない電話での法律相談に応じてくれる、トラブル発生時に優先的に対応してくれる、個別の案件対応の際の料金が割引になる等を内容とすることが多いです。
もっとも、顧問契約に決まった内容というものはありません。イメージとしては携帯電話の契約に近いかもしれません。契約する会社や基本料金の高さによって、基本料金の範囲内で通話することができる時間の長さが変わってくるように、顧問契約を締結する相手方や顧問料の高さに応じて、顧問料の範囲内で受けられるサービスが違ってきます。
顧問契約を締結すれば、通常は長い付き合いになるでしょうから、できるだけ有利な顧問契約にしたいですよね。次項からは、有利な顧問契約書の作り方など、実践的なことをご説明します。
2、有利な顧問契約書の作り方のポイント
顧問契約書は弁護士などの専門家側が用意しているものを提示されることも多いでしょう。弁護士であれば、違法・不当な内容が含まれているということは考えにくいでしょうが、会社のニーズがすべて満たされているとは限りません。
そこで、有利な顧問契約書とするためには、まず、なぜ顧問契約が会社にとって必要なのかという「顧問契約の目的」をよく考えましょう。そして、その目的を達成するためには、どのようなサービスを提供してほしいのかを考えましょう。顧問契約書に、必要としているサービスがすべて列挙されていれば、有利な顧問契約書といってよいでしょう。不十分な場合には交渉してみてください。
次に、なんと言っても顧問料が重要です。顧問料はどの専門家に何を依頼するのかによって異なりますので、強いこだわりがない場合には、色々調べてみて、最終的に値段で決めるのもいいかもしれません。顧問料だけでなく、どのような場合に別途費用が発生するのかなど、よく確認をして、できるだけ安く顧問契約を締結できるように交渉してみるとよいと思います。
3、顧問契約書作成の流れ
(1)契約の内容について話し合い
まずは当事者間で、契約の具体的な内容について詰めましょう。以下の点に注意して、不利にならないようにしましょう。
- 顧問料の金額
- 顧問料の範囲内で、どのようなサービスを受けられるのか(何時間まで無料で相談することができるのか等)
- どのような場合に別途料金が発生するのか
- 別途料金が発生する場合の料金の計算方法
- 契約を解約することができるのはどのような場合か
- 契約を解約した場合の顧問料の処理
(2)顧問契約書の作成
通常のビジネスの契約では、契約内容について話し合った上で契約書を作成するのが通常の流れですが、弁護士などの専門家は、自身が使用している顧問契約書を持っているはずですので、基本的にはそれを使用すればよいでしょう。顧問契約の締結を日常的に行っていない専門家と顧問契約を締結する場合には、ご自身で作成する必要がある場合もあるでしょう。作成の仕方や雛型については、後述します。
(3)契約書に問題がないかの確認と修正
相手方から提示された契約書に、話し合った顧問契約の内容がきちんと反映されているのかをチェックしましょう。場合によっては、修正を求める必要があるかもしれません。
4、顧問契約書の雛型ダウンロード
もし、ご自身で顧問契約書を作成するとしても、イチから作成するのは手間でしょう。そこで、顧問契約書の雛型をご用意しました。
5、具体的な顧問契約書の作り方
契約書を作成する場合の注意点について、いくつかポイントを挙げておきます。
(1)契約書名の記載
初めに契約書名を記載します。「顧問契約書」でも十分ですが、弁護士との顧問契約であれば、より具体的に、「法律顧問契約書」などと記載してもよいでしょう。
(2)契約締結の事実
次に、契約当事者の正確な名称(「株式会社」なども含めて正確に記載してください)及び契約締結の事実を記載します。
(3)サービスの内容
契約書の本文に入っていきます。顧問契約を締結することによって、どのようなサービスを受けられるのかということを具体的に記載します。
(4)顧問料
顧問料の金額、支払日、支払方法等を記載します。
(5)顧問料以外の費用
顧問料の範囲外のサービスについては、別途費用が発生する場合もあるでしょう。いかなる場合に、いかなる費用が発生するのかを記載します。
また、サービスの内容によっては、郵便代などの実費や日当が発生する場合がありますので、それについても明確に規定しておく必要があります。
(6)契約期間
顧問契約の期間を定めます。併せて、自動更新とするのか、協議の上での更新とするのかなど、更新に関しても規定しておくとよいでしょう。
(7)解約
どのような場合に顧問契約を解約することができるのか、解約した場合の顧問料の処理はどうするのかについて規定しておきましょう。
(8)裁判管轄
顧問契約に関して紛争が発生した場合に、どこの裁判所を管轄裁判所とするのかを規定しておくのが一般的です。
6、有利な顧問契約を結ぶための方法
有利な顧問契約を結ぶための方法についてご説明します。
(1)顧問契約の相手方を選ぶ
まず、顧問契約を結ぶ相手をよく選ぶことが重要です。弁護士を例にとると、現在では、月額1万円以下の顧問料で、顧問契約を締結することができる場合もあるようです。もっとも、顧問料が低ければ、顧問料の範囲内で受けられるサービスも、それに応じたものになるでしょう。しかし、「何かあったときに備えて顧問契約を締結しておきたいが、それほどよく利用するわけではない」という方には、たとえ顧問料の範囲内で受けられるサービスが少なかったとしても、顧問料が安いほうがいいでしょう。他方で、よく利用するという前提での契約を考えておられる方は、顧問料が少し高かったとしても、顧問料の範囲内で、より多くのサービスを受けられる方が経済的でしょう。
法律事務所によっては、ニーズに応じた様々なプランを用意しているところもあるようですので、その中で、会社に合ったプランを選ぶのもいいでしょう。
(2)紹介してもらう
専門家と顧問契約を締結しようと思ったとき、皆様はどうやってその専門家を探すでしょうか。現代では、とりあえずネットで探してみるのが一般的でしょう。しかし、ネットで見つけた初対面の専門家と、いきなり顧問契約の内容について交渉するのも、少しためらわれるでしょう。知り合いからの紹介であれば、専門家側もむげにすることはできませんから、ある程度融通を利かせてくれて、有利な契約をすることができる場合もあります。ご自身のお知り合いを当たってみるのも、手段の一つです。
7、顧問契約書に印紙は必要?
顧問契約書に印紙は必要でしょうか。最後に、この点について、ご説明したいと思います。そもそも、皆様は、何に印紙を貼る必要があって、何に貼る必要がないか、ご存じでしょうか。印紙を貼る必要がある文書(課税文書)の該当性については、印紙税法で細かく定められており、印紙税額一覧表というものにまとめられています。印紙税額一覧表には、第1号文書から第20号文書があり、文書の種類や非課税文書になる際の条件が具体的に記載されています。
では、顧問契約書は、第1号文書から第20号文書のいずれかに該当するのでしょうか。
正解は、該当する場合もあれば、該当しない場合もある、ということになります。どういうことかというと、その顧問契約が、委任契約(何らかの事務を遂行することを頼むこと)と解される場合には、第1号文書から第20号文書のいずれにも該当しないので、印紙を貼る必要がないのに対して、請負契約(報酬の対価として、何らかの仕事の完成を約束すること)と解される場合には、第2号文書に該当し、印紙を貼る必要があります。委任契約に該当するか、請負契約に該当するかの簡単な見分け方は、成果物の受け渡しが想定されているか、成果物に対して報酬を支払う契約になっているかという点を意識することです。ご自身が作成した顧問契約が、委任契約と請負契約のいずれに当たるかをよく確認し、間違いのないようにしてください。
なお、契約書の印紙について詳しくは以下の記事をご参照下さい。
[nlink url=”https://best-legal.jp/contract-revenue-stamp-2408″]
顧問契約書まとめ
今回は、顧問契約について、その一般的な内容から契約書の作成方法まで幅広くご説明しましたが、いかがでしたか?参考にしていただき、皆様がよりよい顧問契約を締結することができれば幸いです。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています