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特許法等の改正とは?最新の改正ポイントを解説

2023年9月7日
特許法等の改正とは?最新の改正ポイントを解説

令和3年5月14日に「特許法等の一部を改正する法律案」が国会で可決・成立し、同年5月21日に公布されました。

改正の対象は、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律及び弁理士法です。

令和3年に改正された背景・目的は以下3点です。

  1. 新型コロナウィルス感染拡大に対応したデジタル化等の手続き整備
  2. デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し
  3. 訴訟手続きや料金体系の見直し等、知的財産制度の基盤の強化

今回は、特許法等の令和3年改正のポイントについて、それぞれ具体的に解説します。

1.特許法等の令和3年法律改正ポイント①~新型コロナウィルス感染拡大に対応したデジタル化等の手続き整備~

新型コロナウィルス感染症拡大や世界的なデジタル化への対応が急務な背景を踏まえて、以下4点の項目について、手続きレベルで特許法等が改正されました。

  1. 口頭審理期日等における当事者等の出頭のオンライン化
  2. 特許料等の支払手段の見直し
  3. 国際意匠登録出願手続き等の改正
  4. 災害等の発生時における割増手数料の免除

(1)口頭審理期日等における当事者等の出頭のオンライン化

特許無効審判等は口頭審理で行うのが原則であり(特許法第145条第1項)、呼出しを受けた当事者等が、審判長が特許庁庁舎等の指定した場所に出頭しなければなりませんでした。

口頭審理が公開して実施されるのは審判の公正を担保する趣旨に基づきますが、人の移動及び対面接触機会が増えることによって新型コロナウィルス感染症の拡大リスクが高まります。
また、デジタル化などの社会構造の変化を踏まえると、利便性を向上させる観点からは、審判において当事者が出頭することなく口頭審理の期日に関与できるようにすることが望ましいといえます。

これらの事情を踏まえて、審判長の判断で、当事者等がウェブ会議システム等によって口頭審理期日における手続や判定の口頭審理における手続、証拠調べ及び証拠保全手続を行うことができるように法改正がなされました。

特許法、実用新案法、意匠法及び商標法においても、ウェブ会議システム等による手続が可能となっています。

(2)特許料等の支払手段の見直し

令和3年改正によって、特許料等の支払い方法について、特許印紙による予納制度が廃止されて、現金予納制度に一本化されました(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第14条、第15条、第16条)。

また、オンライン手続きだけではなく窓口での手続きにおいても、口座振替、クレジットカード払いによる予納が可能となりました(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第15条の2、第15条の3)。

(3)国際意匠登録出願手続等の改正

  •  国際意匠登録出願における新規性喪失の例外適用証明書の提出方法の拡充

国際出願の出願人は、願書をWIPO国際事務局に提出することとされていますが、願書と例外適用証明書の提出時期や提出先の違いに起因し、新規性喪失の例外を申し出た出願人のうち約4割が、日本国特許庁への例外適用証明書を提出しない事態を招いていました。
また、新型コロナウィルス感染症の拡大により一部の国際郵便の引受けが停止されたため、日本国特許庁から海外の出願人に対する書面の送付が遅滞していました。

そこで、国際出願の出願人が、願書とともに例外適用証明書をWIPO国際事務局に提出したときには、国際登録の日に日本国特許長官に提出したものとする、という「みなし規定」が新設されました(意匠法第60条の7第2項)。

  • 国際意匠登録出願における登録査定の謄本の送達方法の見直し

新型コロナウィルス感染症の拡大により一部の国際郵便の引受けが停止され、日本国特許庁から海外の出願人に対する「登録査定の謄本」の送達が滞っていました。

そこで、意匠登録出願について意匠登録をすべき旨の査定が行われたとき、登録査定に記載されている事項を、WIPO国際事務局を経由して「保護の付与の声明」と合わせて出願人に電子的に通知すれば、国際意匠登録出願における「登録査定の謄本の送達」に代えることができるようになりました(同法第60条の12第1項、2項)

  • 国際商標登録出願における個別手数料の二段階納付の廃止及び登録査定の謄本の送達方法の見直し

マドリッド協定議定書に基づいて商標の国際出願を行う際には、日本では、出願時と商標権付与時の二段階に分けて手数料を納付することとされていました(商標法第68条の30第1項及び第2項)。

もっとも、手続負担の軽減等から、国際商標登録出願における個別手数料の納付方式を、二段階納付方式から一括納付方式に変更する旨の法改正が行われました(商標法第68条の30第1項)。

また、新型コロナウィルス感染症の拡大により一部の国際郵便の引受けが停止され、日本国特許庁から海外の出願人に対する「登録査定の謄本」の送達が滞っていたことから、登録査定に記載されている事項を、WIPO国際事務局を経由して「保護を与える旨の声明」とともに、海外の出願人に電子的に通知することをもって、国際商標登録出願に係る「登録査定の謄本」の送達に代えることができるようになりました(商標法第68条の18の2第1項及び第2項)。

(4)災害等の発生時における割増手数料の免除

大規模感染症や災害など、特許権者等の責めに帰することができない理由によって、特許権者が納付期間・猶予期間以内に特許料等を納付できないときに、割増特許料等の納付が免除されるように法改正が実施されました(特許法第112条第2項及び第4項~第6項、実用新案法第33条第2項及び第4項~第5項、意匠法第44条第2項及び第4項、商標法第43条第1項~第3項)。

2.特許法等の令和3年法律改正ポイント②~デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し~

デジタル化や特許関連サービス内容の高度化・国際化などの背景を踏まえて企業行動が変化することを想定して、以下3点について特許法が改正されました。

  1. 海外からの模倣品流入に対する規制の強化
  2. 訂正審判等における通常実施権者の承諾の要件の見直し
  3. 特許権等の権利回復の要件の変更

(1)海外からの模倣品流入に対する規制の強化

商標権者は商標権を、意匠権者は意匠権を有しており、権原のない第三者が登録商標や登録意匠等を使用した場合には、商標権侵害・意匠権侵害が成立するのが原則です。
たとえば、模倣品を無許可で輸入する場合などが侵害行為の代表例として挙げられます。

しかし、改正前特許法では、商標権侵害・意匠権侵害を構成する第三者は「業として侵害行為を行う者(個人事業主を含む「事業者」)に限られていたため、個人が模倣品を個人的に使用する目的で輸入する行為は商標権侵害にならないという問題がありました。

そこで、令和3年の改正によって、外国にある者が郵送等の方法によって商品等を日本国内に持ち込む行為が、商標法及び意匠法における「輸入」行為に該当すると規定され、事業者が個人使用目的の個人に対して郵送等によって模倣品を持ち込む行為も商標権侵害・意匠権侵害として摘発対象と扱われることになりました(商標法第2条第7項、意匠法第2条第2項)。

(2)訂正審判等における通常実施権者の承諾の要件の見直し

近年、多数の特許権等を多数の者にライセンスするというように、ライセンス関係が大規模かつ複雑な態様へ変化していること、外国企業が日本の特許権の通常実施権者となるケースも増加していること等から、特許権者が訂正審判又は訂正の請求に際して、全ての通常実施権者の承諾を得ることが現実的に困難となっていました。

そこで、訂正審判の請求及び特許無効審判または特許異議の申立ての手続きの中で行われる、訂正の請求並びに実用新案登録請求の範囲等の訂正において、「通常実施権者の承諾」要件が不要となりました(特許法第127条(同条を準用する同法第120条の5第9項及び第134条の2第9項並びに実用新案法第14条の2第13項を含む。))。

また、特許権・実用新案権・意匠権の放棄においても、「通常実施権者の承諾」を不要とする法改正が実施されました(特許法第97条第1項(同項を準用する実用新案法第26条及び意匠法第36条を含む。)。
ただし、商標権の放棄については従来通り「通常使用権者の承諾」が必要です(商標法第34条の2)。

(3)特許権等の権利回復の要件の変更

手続期間が徒過すると、出願人が有していた権利が失われたり、優先権を主張することができなくなったりします。
一方で、軽微な手続のミスにより保護を受けられないことが出願人等にとって酷な場合も存在することから、いったんは失われた権利や優先権(権利等)を回復する制度が設けられています。

今回の改正では、日本は権利等の回復のための判断基準や立証負担が欧米諸国に比して厳しすぎたことから、出願審査の請求・特許料の追納による特許権の回復・実用新案登録出願等に基づく優先権主張等について、権利等を回復できる要件が緩和されました。

具体的には、特許法条例(PLT)における「権利等の回復のための要件」を「相当な注意基準」から「故意ではない基準」に転換し、特許法等において、手続き期間を徒過した場合に救済を認める要件について、「手続をすることができなかったことについて正当な理由があるとき」から「手続きをしなかったことが故意によるものでないとき」に引き下げられました。

これによって、従来よりも幅広い範囲で「手続き瑕疵に起因する期間徒過による権利喪失」が回復されることになります。

3.特許法等の令和3年法律改正ポイント③~知的財産制度の基盤の強化~

デジタル技術の進展・特許権のライセンス態様の複雑化・特許商品等のグローバル化に対応するために、以下3点の法改正によって知的財産制度の基盤強化が図られています。

  1. 特許権等侵害訴訟等における第三者意見募集制度の導入
  2. 特許料等の料金改定
  3. 弁理士制度の見直し

(1)特許権等侵害訴訟等における第三者意見募集制度の導入

特許権または専用実施権の侵害に関する訴訟は民事訴訟ですから、特許法において特別の規定がない限り、民事訴訟法の規定が適用されます。
つまり、特許権等侵害訴訟の確定判決の効力は、当事者等にのみ及びますし(民事訴訟法第115条第1項)、判決の基礎となる証拠の収集・提出は当事者の責任であり権限とされます。

しかし、近年、知的財産権については多岐にわたる業界の利害関係者が関与し、複雑な態様となっていることから、特許権等侵害訴訟における裁判所の確定判決の効力が、当事者以外の第三者に事実上の影響を及ぼす場合が少なくありません。

もっとも、当事者にとって第三者の事業実態等の証拠を収集することは、困難な場合もあります。

そこで、当事者による証拠収集手続として、特許権等侵害訴訟において、当事者の申立てによって、裁判所が広く一般の第三者に対して、当該事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について、意見を記載した書面の提出を求めることができる制度(第三者意見募集制度)が創設されました(特許法第105条の2の11第1項~第4項)。
これにより、技術開発や技術活用の在り方などについて、対象となっている特許権に関わる他の業界からの視点等を取り入れることができ、裁判所が広い視野に立って適正な判断を下すことができるようになることが期待されています。

この第三者意見募集制度は、実用新案権又はその専用実施権の侵害に係る訴訟においても活用されています(実用新案法第30条、特許法第105条の2の11)。

(2)特許料等の料金改定

以下のように、手数料等については抜本的に改定されました。

①特許料(平成16年4月1日以降に審査請求をした出願)

項目 改定前金額 改定後金額
特許料(第1年~第3年) 毎年2,100円+(請求項の数×200円) 毎年4,300円+(請求項の数×300円)
特許料(第4年~第6年) 毎年6,400円+(請求項の数×500円) 毎年10,300円+(請求項の数×800円)
特許料(第7年~第9年) 毎年19,300円+(請求項の数1,500円) 毎年24,800円+(請求項の数×1,900円)
特許料(第10年~第25年) 毎年55,400円+(請求項の数×4,300円) 毎年59,400円+(請求項の数×4,600円)

②商標登録料

項目 改正前金額 改正後金額
商標登録料 区分数×28,200円 区分数×32,900円
分納額(前期・後期支払い分) 区分数×16,400円 区分数×17,200円
更新登録申請 区分数×38,800円 区分数×43,600円
分納額(前期・後期支払い分) 区分数×22,600円 区分数×22,800円
防護標章登録料 区分数×28,200円 区分数×32,900円
防護標章更新登録料 区分数×33,400円 区分数×37,500円

 

③国際出願(特許、実用新案)関係手数料

項目 改定前金額 改定後金額
送付手数料+調査手数料(日本語) 80,000円 160,000円
送付手数料+調査手数料(英語) 166,000円 186,000円
国際調査の追加手数料(日本語) 60,000円×(請求の範囲の発明の数-1) 105,000円×(請求の範囲の発明の数-1)
国際調査の追加手数料(英語) 126,000円×(請求の範囲の発明の数-1) 168,000円×(請求の範囲の発明の数-1)
予備審査手数料(日本語) 26,000円 34,000円
予備審査手数料(英語) 58,000円 69,000円
予備審査の追加手数料(日本語) 15,000円×(請求の範囲の発明の数-1) 28,000円×(請求の範囲の発明の数-1)
予備審査の追加手数料(英語) 34,000円×(請求の範囲の発明の数-1) 45,000円×(請求の範囲の発明の数-1)

④国際登録出願(商標)関係手数料

項目 改定前金額 改定後金額
個別手数料(登録料相当分) 区分数×28,200円 区分数×32,900円
個別手数料(更新登録料相当分) 区分数×38,800円 区分数×43,600円

⑤電子化手数料

項目 改定前金額 改定後金額
電子化手数料 1件につき1,200円に書面1枚につき700円を加えた額 1件につき2,400円に書面1枚につき800円を加えた額

(3)弁理士法の改正

農林水産品の輸出拡大が政府方針として掲げられているにも関わらず、日本産の農林水産品に関する知的財産権は、海外で適切に保護されていないのが実情です。

そこで、一般品種にない優良な特性(良食味、栽培適正等)を有する「植物の新品種」や、品質、社会的評価その他の確立した特性が産地と結びついている産品の名称を示す「地理的表示」に関する権利に関する事務やこれらの保護に関する相談業務が、弁理士の名をもって行うことができる業務(いわゆる「標榜業務」)に加えられました(弁理士法第4条第3項)。

また、従来は、弁理士が設立した法人は「特許業務法人」という名称を使用しなければなりませんでしたが、弁理士が実際に行っている業務の範囲が、特許や意匠、商標の出願代理業務に限らず、各知的財産に関するコンサルティング業務や、不正競争防止法関連業務等などにまで大きく拡大していることから、「特許業務法人」の名称を改め、「弁理士法人」との名称を使用することとなりました。

また、弁理士の高齢化をふまえ、弁理士所属人数が一人でも法人を設立することができるようになりました(同法第2条第7項)。

まとめ

令和3年の特許法等改正では、新型コロナウィルス感染症の影響やデジタル化、知的財産権をめぐる権利関係の複雑化等に対応するために抜本的な制度見直しが図られています。

そのため、知的財産権関連の出願を行う企業や特許ライセンス契約に関わる企業だけではなく、自社商品やサービスが海外からの模倣品被害を受けている企業等に至るまで、幅広く企業活動に影響を及ぼすものになるでしょう。

特許法等改正に適切に対応するためには、弁護士や外部専門家に随時相談することが重要です。
知的財産権をめぐる紛争は専門性が高く、損害が高額になるリスクもあります。
できるかぎり紛争の予防に努め、万が一紛争が顕在化してしまった場合には、できるだけ早く専門家にご相談ください。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

ベリーベスト 法律事務所弁護士編集部
ベリーべスト法律事務所に所属し、企業法務分野に注力している弁護士です。ベリーベスト法律事務所は、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、中国弁護士(律師)、それぞれの専門分野を活かし、クオリティーの高いリーガルサービスの提供を全国に提供している専門家の集団。中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも特徴のひとつ。依頼者様の抱える問題に応じて編成した専門家チームが、「お客様の最高のパートナーでありたい。」という理念を胸に、所員一丸となってひたむきにお客様の問題解決に取り組んでいる。
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