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SEOコンテンツの制作を依頼する際の業務委託契約書の雛形と作り方
SEOコンテンツ制作業務委託契約書をご存知ですか。
昨今のGoogleのアルゴリズムの変更を受けて、従前の被リンク重視のSEOからコンテンツの質を重視したSEOにシフトしている会社は少なくないのではないでしょうか。
内部で良質なコンテンツを作ることができるのが理想ですが、スキルやリソースの問題でなかなかコンテンツを内製することが難しい場合もあるでしょう。
このような場合、コンテンツ制作を外注する必要が出てきます。
その際に外部のライターと業務委託契約を結ぶこととなりますが、どのような契約書を使えばいいのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、SEOコンテンツの制作を依頼する際の業務委託契約書の作り方について書いていきます。
また、その際の参考にしていただくため業務委託契約書の雛形をご用意しました。
「毎月お金を支払っているのにあんまり仕事をしてくれない!」といったトラブルもきちんとした業務委託契約書を作成しておくことで、回避につながります。
是非ご参照下さい。
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1、SEOコンテンツの制作に関する業務委託契約書作成の流れ
まずは、業務委託契約書作成の流れについて知っておきましょう。
(1)契約の内容について話し合い
まずは当事者で契約の内容について詰めましょう。
話し合いをすべき内容は概ね以下の通りです。
①ライターが作成するコンテンツの内容について
- どのような分野のコンテンツを作成するか?
- 文字数はどうするか?
- 参考文献や参考URLはあるか(ある場合には文献やURLをあらかじめ話しておきましょう。)?
- タイトルはライターが決めてもよいか?それとも委託者が決めて指示するか?
②ライターへ支払う報酬について
報酬の算定方法としては以下のようなものが考えられます。
- 時給制
- 「1コンテンツにつきいくら」という決め方
- 「1文字につきいくら」という決め方
どのような方法を採用して、ライターにいくら支払うか確認しておきましょう。
③コンテンツの制作ペースについて
「週5個コンテンツを作成する」など、コンテンツの制作ペースを決めておきましょう。
④コンテンツ制作依頼の流れについて
作成にあたって委託者からライターに伝える内容、依頼からコンテンツ完成までの期間(納期)などを決めておきます。
⑤制作物の修正について
ライターが一旦制作したコンテンツについて、委託者が内容に納得いかない場合に委託者からの修正依頼を認めるか、認めるとしたら何回認めるかを決めておきましょう。
⑥委託契約により発生した成果物の権利の所在について
コンテンツの著作権をどちらが取得するかについて決めておきましょう。
委託者に有利な契約にしたいときは、委託者が著作権を有するという内容にしましょう。
⑦ライター業務の再委託について
ライターがライティング業務を他の者に任せてもよいかについて決めておきましょう。
⑧業務遂行にあたり必要となる費用の負担について
コンテンツ制作にあたっては参考書籍の購入などが必要な場合もあるでしょう。
そういった場合に、書籍の購入費を委託者とライターのいずれが負担するかを決めておきましょう。
また、コンテンツの内容によっては取材が必要となる場合もあるでしょう。
その際に交通費などを委託者とライターのいずれが負担するかについても決めておきましょう。
⑨解約について
どのような場合に業務委託契約を解約できるかと解約する場合の解約方法について決めておきましょう。
(2)コンテンツ制作業務委託契約書の作成
話し合いの内容をもとにコンテンツ制作業務委託契約書の作成作業に入りましょう。
このとき、「どちらが契約書を作りますか?」という話になるかと思いますが、契約のイニシアティブを取って有利な契約書を作成するために自身で作成するようにした方がいいでしょう。
(3)相手方にてコンテンツ制作業務委託契約書の内容に問題がないかの確認と修正
作成した契約書の内容に問題がないか相手方に確認してもらいましょう。
もしもここで相手方に修正を求められたら、修正を求められた部分について、もう一度相手方と話し合い、契約の内容を確定させましょう。
(4)作成したコンテンツ制作業務委託契約書を製本するには?
作成した業務委託契約書を製本する作業に入りましょう。
契約書は2通作成し、一方に収入印紙を貼りましょう。
ポイントを以下解説します。
①コンテンツ制作業務委託契約書は2通必要?
契約書は1通でも大丈夫ですが、トラブルが起きた時のために当事者双方が持っていた方がよいです。
2通作成し1枚ずつ保管しておきましょう。
2通作っておくことで「勝手に加筆修正される」というリスクを回避することができます。
また、契約書が2枚以上になる場合には、契印を押す必要があります。
契印とは、契約書が2枚以上にわたる場合にその文書が一連一体の契約書であるとして差し替え等を防ぐために各ページのつなぎ目に押印するものです。
②コンテンツ制作業務委託契約書にはいくらの収入印紙を貼るべき?
コンテンツ制作業務委託契約書には4,000円の収入印紙を郵便局などで購入して貼りましょう。
貼るのは2通のうち1通のみで大丈夫です。
2、コンテンツ制作業務委託契約書の雛形ダウンロード
契約書を一から作成するのは大変でしょう。
そこでコンテンツ制作業務委託契約書の雛形をご用意しました。
3、コンテンツ制作業務委託契約書の作り方
ダウンロードした雛形をベースにいよいよ契約書の作成作業に入りましょう。
パソコンでWordなどのテキストソフトで作成していくとよいでしょう。
基本的には話し合った内容を文字として反映させていく作業となります。
(1)契約書名の記載
最初に契約書名を書きましょう。
「業務委託契約書」と書いておけば十分ですが、より細かく「コンテンツ制作業務委託契約書」と書いておくとより正確です。
(2)契約締結の事実
次に契約当事者の正確な名前(「株式会社」や「有限会社」などの記載は忘れがちなので気をつけましょう。)を書いて契約締結の事実を書きましょう。
(3)委託業務
いよいよ契約書の本文に入っていきます。
「SEOを目的としたコンテンツのライティング」など具体的に書きましょう。
(4)コンテンツ制作業務の遂行方法
ライターが善管注意義務(その人の職業や専門家としての能力、社会的地位を踏まえて一般的に期待される注意義務)を負うことを記載します。
(5)業務委託料・業務遂行に伴う費用
委託者からライターに支払う報酬の内容、支払日及び支払方法を記載します。
また、ライティングにあたって必要となる費用(参考書籍代、取材のための交通費)をどちらが負担するかも明記しておきましょう。
(6)契約期間・契約更新
まずは、契約開始日と契約終了日を書きます。もし契約を更新するつもりあれば、どのような場合に契約が更新されるか記載しましょう。
例えば、「契約終了日の1ヶ月前までにいずれの当事者からも契約終了の申し出がない場合には自動的に契約は1年間更新される」などです。
(7)再委託の制限
話し合いで「受託者はその業務を第三者に任せてはいけない」となった場合には再委託の禁止の条項を設けましょう。
(8)知的財産権の所在
コンテンツの著作権などの知的財産権を甲と乙のいずれが有するかを明記しましょう。
(9)ライターの報告義務
ライターは委託者に現在の業務の状況を報告する義務を負うことを明記しておきましょう。
(10)通知義務
会社名やライターの振込口座など、重要な部分に変更があった場合に相手方に通知する義務を記載しておきましょう。
(11)秘密保持義務
委託者が損失を受けないように、ライターが業務上知り得た秘密を第三者に漏らさない義務(秘密保持義務)を明記しましょう。
もっとも、ライターにとって過度な負担とならないよう、例外的に秘密保持義務の対象とならない情報について明記しておきましょう。
また、場合によっては、ライターが委託者に業務上の秘密を明かす必要がある場合も考えられるので、その場合には、委託者にも秘密保持義務を負わせるようにしましょう。
(12)損害賠償義務
委託者とライターが、それぞれ契約に違反して相手に損害を与えた場合に、損害賠償の義務を負うことを明記しましょう。
(13)遅延損害金を支払う義務
話し合いで法定利率よりも高い利率の遅延利息を定めたときは、もし委託者が業務委託料の支払いを遅れた場合に委託者が合意によって定めた利率での遅延損害金を支払う義務を負うことを明記しておきましょう。
ただし、利息制限法を超える利率を定めた場合には、その超過部分については無効となりますので注意してください。
(14)契約の解除
委託者とライターがそれぞれ契約に違反した場合その他の信頼関係を破壊する行為があった場合に双方が契約を解除できる旨を記載します。
(15)契約終了後の処理
契約終了後に、ライターがどのような処理をすべきかについて明記しておきましょう。
例えば、制作委託契約の場合において、コンテンツが制作中である場合に、制作中のまま委託者に納品するなどです。
(16)裁判管轄
もし、裁判になった場合にどこの裁判所で訴訟を行うかを記載しましょう。
(17)協議
契約書に書いてない事項について争いとなった場合に、話し合いで解決することを記載しましょう。
4、委託者にとって有利なコンテンツ制作業務委託契約を結ぶためのポイント
トラブルを防止するために契約書を作成するのは、言わば「当たり前」です。
契約書は、戦略的に作ってこそ意味があります。契約書を作る真の目的は、自身に有利な契約を結ぶことです。
その点を踏まえて、契約書の雛形を使うときに注意するべきポイントを挙げます。
- キャッシュフローの観点から、支払いのタイミングはできるだけ遅らせるようにする
- 秘密保持義務や報告義務は必ず明記しておく
- 業務の過程で発生した著作権について権利を有することを明記しておく
- ライターが作成したコンテンツについて修正を依頼できるようにしておく
まとめ
今回は、コンテンツの作成に関する業務委託契約書の作り方について書いていきましたが、いかがでしたでしょうか?
ご参考頂ければ幸いです。
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※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています