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企業リスクに備える①! 不祥事が起きた場合の基本3原則

2020年3月12日
企業リスクに備える①!  不祥事が起きた場合の基本3原則

1. はじめに

例えとして、よく言われることですが、会社という字は逆から読むと、「社会」になります。

過去の例をみても、不祥事が発生した際の適切な対応を誤ったため、社会的存在としての意義を問われ、市場からの退場を余儀なくされた会社は少なくありません。

このように、不祥事への対応を誤ると、会社に多大な損害が生じかねません。
そこで、今回は、会社がかかえる様々なリスクのうち、製品事故をはじめとする企業不祥事が起きた場合の対応について、概観してみたいと思います。

2.後を絶たない企業不祥事!

言うまでもなく、会社は人の集団です。
製品事故や不祥事等の原因は、悪意によるものからヒューマンエラーによるものまで多種多様です。

会社法は、法令遵守体制の整備(いわゆるコンプライアンス体制の構築)について、大会社である取締役会設置会社等に対しては、取締役会の決定事項として義務付けています(会社法362条5項、同4項6号)。
そのような大会社でも従業員による横領のほか、組織ぐるみの不祥事もあとが絶たないのが現状です。

令和に入ってからも、上場企業等に社外取締役を義務付ける等の会社法の改正がなされるなど、企業の不祥事防止対策は強化されています。

3.不祥事等が発生した場合の3つの基本原則

不祥事等が発生した場合の3つの基本原則

(1)トップが先頭に立った対応が肝心

言うまでもなく、不祥事は起こさないことが第一です。

しかし、不幸にも不祥事が発生した場合、どのように対応すべきでしょうか。

対応すべき相手が当事者であっても、監督官庁等の行政、マスコミ等であっても、まずなすべき基本原則は次の3つです。

◎基本原則1 「誠意ある謝罪と責任の明確化」
◎基本原則2 「原因究明とその説明」
◎基本原則3 「再発防止策の構築とその説明」

不祥事が起きた際は、パニックにならず、この3原則に従い、弁護士等の専門家の意見も踏まえつつ、トップが先頭に立って果敢に決断すべきです。

以下、この3原則について説明します。

(2)基本原則1 「誠意ある謝罪と責任の明確化」

謝罪は簡単なようで、実は難しいものです。
せっかく頭を下げているのに、「謝罪の態度が悪い」などという苦情に発展したケースも少なくありません。
不祥事の原因が従業員のヒューマンエラー等の場合は、謝罪をする者が当事者意識を欠いているためか、どこか他人事のように見えてしまうこともあります。
「申し訳ございません」は、クッション言葉と称されるほど、日常用語化しています。
もちろん、謝罪の言葉として通用しているので、「申し訳ございませんでした」でよいのですが、謝罪の気持ちが伝わるように是非とも<感情演出>をしてもらいたいものです。

次に責任ですが、これは当事者に対する損害賠償を含めて、起きた不祥事の害悪の程度に比例したものでなければなりません。
ただし、あくまで<適正比例>の責任の取り方でよいのです。

些細な商品の瑕疵に対しても、過大に責任を追及するクレイマーも多い昨今ですが、商品の瑕疵が、たまたまその当事者にのみ発生しているのであれば、担当部門の責任者がお詫びした上で、当該商品を交換すれば多くの場合足りるでしょう。
金銭要求等それを上回る要求は、いわゆる過大要求といえますから、これに応じる必要はありません。

このように、責任は、<適正比例の原則>に即していれば、社会からの非難を招くことはありません。

重要なのは、決定した責任の内容が第三者の目からみても、起こした不祥事の内容に照らし、適正比例したものであるかどうかなのです。
当事者である企業内決定ではどうしても判断が甘くなりがちです。
この点は、顧問弁護士等の社外の専門家にもぜひ相談してほしいと思います。

(3)基本原則2 「原因究明とその説明」

「謝って済むなら、警察はいらない。」というのは、脅し文句の常套句ですが、会社が起こしてしまった不祥事に関しては、あながち無視できないものといえるでしょう。
たとえトップが責任をとって辞めたとしても、それだけでは、多くの場合、世間は納得しません。

上記の例で挙げた商品の瑕疵の場合、損害の回復を図ったのであれば、損害賠償責任という法律上の責任は果たしたといえます。

しかし、会社は、社会的責任を負う存在でもあることを忘れてはなりません。
市場で活動することを許された者として、商品に瑕疵がある場合、その原因を説明する責任を負っていることは否定できません。

上記の商品の瑕疵の例で言えば、なぜそのような瑕疵が生じたのかを誠実に原因調査をするべきです。
しかし、この場合も、起きた不祥事の害悪の程度に比例したもの、<適正比例>の原則に従えばよいと思います。
例えば、説明の仕方としては、下記のようなものが考えられます。

「同時に出荷した商品を調べましたところ、他の商品のパッケージには同様の汚れはありませんでしたので、工場での生産過程には問題はないことが判明しました。流通過程で付着したものと考えられますが、流通過程でどのように付着したものかまでは解明できませんでした。」

もちろん、健康被害等、不祥事の害悪の程度が高いものであるときは、徹底した原因究明が必要となることは言うまでもありません。

(4)基本原則3 「再発防止策の構築とその説明」

最後の原則は、再発防止策の構築とその説明です。

この原則も<適正比例>に即したものでよいのですが、当該事案の調査過程(基本原則2)で判明した問題点はすべて,積極的に実効的な改善策を検討するべきです。
要は,同じ過ちを繰り返さないということが大切です。
そのためには,商品に瑕疵が生じた場合であれば,商品の品質管理をチェックする専門部署を強化する等,必要に応じて企業内体制も見直すべきでしょう。
企業は、常に、商品・サービスの品質向上や実効性のある不祥事予防策を図っておくべきだからです。

(5)マスコミを黙らせた見事な記者会見

最近、この3原則を忠実に守った模範的な記者会見があったので、概要を紹介したいと思います。

その企業は、パソコン買取り・オフィス不要品買取りなどを行う中小企業ですが、業績を順調に伸ばしていました。
ところが、従業員がデータ破棄をするべき記憶媒体を持ち出し、あろうことかネットオークションに出品していたのです。
その記録媒体には重要な個人情報も含まれていることもあって、報道も大きくなされました。
当該企業にとっては致命的ともいうべき不祥事です。
ところが、多くのマスコミを集めての記者会見は模範的なものでした。
以下、概要を紹介します。

 

記者会見では、当然ながら、冒頭で社長以下役職員が神妙に謝罪していました。

創業者である社長がマイクを握り、最初の謝罪から上記の基本3原則の概要に至るまでをすべて自ら説明していたのです。
まず、自分は今回の責任を取ってすみやかに社長を辞任することを発表していました。
起こした不祥事に適正比例した責任の内容を明確化したのです(基本原則1)。

原因究明については、続行中としつつ、現時点で判明している事情を詳しく説明していました(基本原則2)。

再発防止策についても、社長から骨子が説明された後、担当役員が大きなスクリーンを使って詳細に説明していました(基本原則3)。

3つの基本原則に忠実にしたがった記者会見でした。
その後、私が知る限り、マスコミがこの謝罪会見を批判的な論調で報じた記事は見られませんでした。
私は、この記者会見は、マスコミ対策に相当に精通したプロのアドバイザーがいたのではないかとみています。

果たしてどうでしょうか。

4.不祥事が発生した場合の3原則は、不当要求行為にも有効!

企業が不当要求行為に屈することは、会社資金を不当に社外に流失させる点で、背任的行為であるほか、相手が反社会的勢力であれば、その資金源を供給した行為であるとして社会から激しく非難されることになります。

不当要求行為の端緒としては、製品事故や些細な落ち度、場合によっては不祥事をネタにするものも多いのも事実です。

このような場合も、3原則で対応すればよいのです。

こちらに落ち度があれば、その点は謝罪し、損害があれば適正な賠償をし、再発防止に取り組むと回答すればよいのです。

 

5.最後に

不祥事は起こさないのが一番ですが、起きてしまった不祥事対応を誤ると社会的非難を増悪させ、そのマグマはあっという間に会社を飲み込んでしまうこともあります。

企業の方の相談を受けていると、もっと早く相談してくれればよかったのにと思うことが本当に多くあります。

不祥事は起こさないことが一番ですが,起きてしまった不祥事にどう対応するかは,会社が社会と共生していくことで発展していく存在であるという原点に立ち返って考えれば,その答えが自ずと見つかるのではないかと思います。

野澤孝有
弁護士野澤 孝有
名古屋大学法学部法律学科を卒業後、大手生命保険会社に入社。広報部門、契約審査部門、お客様サービス部門等の管理職を歴任し、保険金支払審査部門では社外専門家をメンバーとする第三者委員会の運営事務局長を務める。2003年4月より消費者と企業の共生を目指す「公益社団法人 消費者関連専門家会議」(通称「ACAP」)の会員としても消費者問題の啓もう研究活動等に従事。2019年12月ベリーベスト法律事務所に入所。
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