専門的な企業法務サービスが、この価格。月額3980円(税込)から顧問弁護士。

お問い合わせ

【公式】リーガルモールビズ|ベリーベスト法律事務所がお届けする企業法務メディア国際法務【緊急報告】米国のコロナウイルス対策法
専門的な企業法務サービスが、この価格。月額3980円(税込)から顧問弁護士。
ベリーベスト法律事務所の弁護士・税理士等からのサポートが受けられます。
企業法務のご相談も受付中。お気軽にお問合わせください。
電話受付時間:平日 9:30~18:00 土日祝除く

【緊急報告】米国のコロナウイルス対策法

Families First Coronavirus Response Actの概要

2020年4月1日
【緊急報告】米国のコロナウイルス対策法

1.はじめに

今月(2020年3月)19日に米国連邦政府のコロナウイルス対策法の一部であるFamilies First Coronavirus Response Act(以下「FFCRA」という)が成立しました。本稿では同法を解説します。

2.注意点

FFCRAの行政規則は、アメリカ合衆国労働局(Department of Labor. 以下「DOL」という)が公布することになっています。
ただし、急遽法律が成立し・施行される経緯から、本稿を執筆した日本時間3月30日時点では未だ行政規則が公布されておらず、施行まで2日と迫っているにも関わらず、どのようにコンプライアンスを行うかが未だ不明な状態です。
ただし、法律成立後30日間(つまり3月18日から4月17日までの間)は誠実にコンプライアンスの努力をしていれば罰則等はありません。

DOLは、2020年3月24日に良く寄せられている一般的な疑問点に対する回答を発表しています。
それ以降もQ&Aを適宜更新していますので最新情報についてはこちらをご確認ください。

3.解説

FFCRAは2020年3月19日に成立し、2020年4月1日に施行され、2020年12月31日に失効します。

FFCRAでは有給休暇義務を雇用者に課しています。以下では有給休暇義務の内容を解説します。

(1)緊急有給休暇(Emergency Paid Sick Leave)

対象となる雇用者:従業員数499名以下の企業(従業員数500名以上の従業員がいる企業はFFCRAの対象外です)。[i]
対象となる従業員:新型コロナウイルスに関連して、テレワークを含め、働くことができない民間の全ての従業員。

 

フルタイムの従業員の有給休暇期間:80時間の有給休暇。時給の計算はFair Labor Standards Act(以下「FLSA」)により計算される通常の時給か最低賃金のうちいずれか多い金額。
パートタイムの従業員の有給休暇期間:通常働く時間分の有給休暇。労働条件により計算方法が違いますので、個別の事情毎に確認が必要です。

以下にFFCRAで有給休暇を取る際の条件をまとめます。

有給休暇の対象となる理由 給与額 上限額
(1)従業員が新型コロナウイルスに関連して連邦、州又は地域の検疫又は隔離命令の対象である場合[ii] 従業員が通常受け取っているFLSA第7条(e)に基づき計算された賃金 1日あたり$511、合計$5,110
(2)従業員が新型コロナウイルスに関連した懸念から医療機関から自主検疫するよう助言された場合 従業員が通常受け取っているFLSA第7条(e)に基づき計算された賃金 1日あたり$511、合計$5,110
(3)従業員に新型コロナウイルスの症状が現れており医療診断を求めている場合 従業員が通常受け取っているFLSA第7条(e)に基づき計算された賃金 1日あたり$511、合計$5,110
(4)従業員が(1)の命令の対象となっている個人の世話をしている場合又は(2)の助言を受けた個人の世話をしている場合 従業員が通常受け取っているFLSA第7条(e)に基づき計算された賃金の3分の2 1日あたり$200、合計$2,000
(5)新型コロナウイルスの予防のために従業員の子供(18歳未満等)が通っている学校等が閉鎖されている又は利用できないために従業員がその従業員の子供の世話をしている場合 従業員が通常受け取っているFLSA第7条(e)に基づき計算された賃金の3分の2 1日あたり$200、合計$2,000
(6)厚生省により指定された同様の影響を従業員が受けている場合 従業員が通常受け取っているFLSA第7条(e)に基づき計算された賃金の3分の2 1日あたり$200、合計$2,000

休暇申請前に30日以上雇用されていた従業員は(5)に該当する場合には追加で10週間の有給休暇の権利があります。

会社の存続に関わる場合には、従業員数50名未満の会社は(5)及び追加での10週間の有給休暇(E-FLMA)の免除を受けることができます。今後行政規則でどういった場合に免除を受けることができるかの詳細が発表される予定ですが、DOLの発表したこちらのQ&Aの58番でコンプライアンス方法が一部公表されました。

(2)掲示義務

雇用者は労務省が作成した通知をひと目につく場所に掲示する義務があります。掲示義務があるポスターはこちらをご確認ください。現状、多くの従業員がテレワーク等を実施していることから、DOLはメール、郵送又は会社のウェブサイト等に掲載することでこの掲示義務を満たすことができると発表しています。

 

4.最後に

アメリカに子会社や関連会社を持っている企業は、それらの子会社等と共に、以上の情報の外、DOLが公布するFFCRAの強制規則をウォッチして対応する必要があります。

 

[i] 雇用者が連邦、州又は地域の検疫命令等で業務を停止している場合には、従業員はFFCRAの有給休暇の対象とはならない点に注意が必要です(こちらのQ&Aの23番以下参照)。その場合には、州の失業保険等の対象となる可能性があります。

[ii] (1) ~ (3)の場合には、従業員自身が隔離命令等の対象となっている必要があります。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

外国法事務弁護士(カリフォルニア州法、ハワイ州法)
タイタノ 誠
はじめまして。 外国法事務弁護士(カリフォルニア州法、ハワイ州法)のタイタノ誠と申します。 2007年にアメリカ合衆国グアムで弁護士として登録後、アメリカ合衆国の北マリアナ諸島、カリフォルニア州、及びハワイ州の資格を取得しました。 今まで米国では主に中小企業の企業法務、特に米国の労務問題及びベンチャーキャピタル投資に注力してきました。 それ以外にも米国の民事訴訟や一般民事の経験もございます。 日本語及び英語はどちらもネイティブでの会話及び読み書きができます。 米国での弁護士経験及び言語能力を生かし、最善を尽くしてまいります。
↑ページの先頭へ
0120-538-016
0120-538-016