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投資契約の概要とその必要性~初めての投資契約締結をご検討されている企業へ~

2021年4月30日
投資契約の概要とその必要性~初めての投資契約締結をご検討されている企業へ~

1.はじめに

スタートアップ企業が第三者から投資を受ける場合には、知人や個人投資家から投資を受ける場合のほか、ベンチャーキャピタル[1](以下「VC」)から投資を受ける場合もあるかと思われます。
知人から投資を受ける場合であれば、従前からの人間関係ゆえ、投資契約を締結しないこともあるかと思います。
しかし、VCからの投資を受ける場合には、投資契約の締結を求められることとなります。

多忙を極めるスタートアップ企業においては、契約書の取り交わしなど、業務の遂行に必要不可欠とまでは言えない業務については、どうしても後回しになりがちです。

そこで、重要契約のひとつである投資契約について、ここで一度立ち止まり、その必要性をご確認されてみるのはいかがでしょうか。

本記事では、そもそも投資契約とはどのような内容の契約なのか、投資契約を締結する必要はあるのか、投資契約締結の際の注意事項などについて解説いたします。

2.投資契約の概要

投資契約は、企業、企業の経営陣、投資家等の利害関係人の間で締結されるものであり、その内容は、概ね以下の項目にわけることができます。

  • 投資に関する基本条項
  • 投資の前提条件に関する条項
  • 株式や会社の運営に関する条項
  • 投資の撤退に関する条項
  • その他の条項

以下、これらの項目について、順次解説いたします。

(1)投資に関する基本条項

これは、どのような種類の株式を(発行される株式の種類)、どれくらい(発行される株式の総数)、どのような株価で(株価)、総額いくら払い込むのか、という投資に関する基本的な条件を定めるものです。

(2)投資の前提条件に関する条項

例としては、企業が投資家に事前に提出した財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書等)の正確性などを投資家に対して表明し保証する表明保証事項や、企業が投資家に情報を開示した後に後発的な事象が生じていないことを確認する条項などが挙げられます。

例えば、「現在、訴訟等の紛争がないこと」のみならず、「将来においても、その可能性がないこと」について表明保証を求められてはいないでしょうか。特に後者は、削除を求めてもよい文言でしょう。

(3)株式や会社の運営に関する条項

株式に関する条項としては、株式の譲渡に関する条項、株主総会における議決権の行使に関する条項、剰余金の配当に関する条項、残余財産の分配に関する条項など、株式の取り扱いに関するものが挙げられます。

また、会社の運営に関する条項としては、VCからの投資先企業への取締役等の派遣条項(ハンズオン条項)、重要事項についてVCの承認やVCへの通知等を要求する条項など、会社の運営に関する投資家の権利等を定めたものが挙げられます。

例えば、VCにどこまで経営に関与させるのか、重要事項について、VCの承認が必要なのか、それともVCに通知さえすれば足りるのか、これは、実際の会社運営において意味合いが大きく異なります。
後者でも充分な事項なのではないか、しっかりと検討する必要があります。

(4)投資の撤退に関する条項

上記の様々な条項について、当事者が違反する場合も想定され、その場合に備え、投資家が投資から撤退することに関する条項が規定されることがあります。
具体的には、投資契約への違反があった場合等に、投資家が保有する投資先企業の株式を当該会社やその代表者個人に売却して、投資から撤退することを定める条項です。

この条項においては、例えば、「違反の程度」を意識することも重要です。
ささいな違反にすぎない場合であっても、株式の買い取りを要求されてしまうような文言になってはいないか、しっかりと確認する必要があります。

(5)その他の条項

投資に際しては、投資を実行するか否かを判断してもらうため、企業から投資家に対して一定の情報提供がなされます。
この情報が第三者に漏れることを防ぐため、投資契約において秘密保持に関する条項が規定されることが多いです。

また、万一、投資家と投資先企業との間で紛争が生じた場合に備え、裁判管轄条項等が規定されることもあります。

さらに、最恵待遇条項というものもあり得ます。
これは、投資先企業が、新たな投資家から投資を受ける場合に、より有利な契約条件があるときには、当該契約条件を先の投資家に対しても付与する趣旨の条項です。
この条項は、非常に強力な効果を持つため、受け入れる際には、事前にしっかりと検討する必要があります。

3.投資契約締結の必要性

スタートアップ企業への投資は、キャピタルゲイン(株式の売却益)を得ることを目的として行われるもの、すなわち、投資ののち、投資先企業が成長し、株式公開(IPO)又は買収(M&A)などに伴い株式を売却することが想定されていることが通常です。

投資契約は、会社法上締結が要求されているものでもなければ、それがなければ株式を発行することができないというものでもありません。
したがって、個人投資家によっては、投資契約なしで投資をしてくれる場合もあるかもしれません。

しかし、個人投資家とは異なり、VCは、ファンドという形で第三者の資金を集めてそれを運用しているため、当該ファンドの投資家との関係で、投資先企業の状況を適切に把握した上で、投資先企業へ関与してゆく必要もあります。

したがって、VCから投資を受ける場合には、投資契約の締結を求められることとなります。

このように、投資契約は、VC側からその締結を要求され、また、その内容が複雑である場合もあることから、投資先企業においては、締結することについて消極的な考えが働くこともあるかもしれません。

しかし、将来的なトラブル防止の観点等から、投資先企業にとっても、メリットとなることもあります。

(1)メリット① 受領した金員の性質が「投資」されたものであることが明確になる

VC等の投資家からお金が振り込まれた場合、当事者間では口頭で約束していたのかもしれませんが、それが何のためのお金なのか、第三者から明らかではありません。

投資家が、当初想定していたリターンが見込めなくなった際、あとになってから、「あのお金は貸付金だ」「単に預けただけのお金だ」などと主張し、返金を求めてくる場合もあり得ます。
実際に、そのような紛争案件に対応したこともあります。

この場合、初めからきちんと「投資」契約を締結していれば、振り込まれたお金の性質は、貸付金でも預り金でもなく「投資されたお金」であることが明らかとなり、このようなトラブルは起きずに済みます。

(2)メリット② 強力なサポーターが得られる可能性

上記3.にて述べましたように、VCが投資契約の締結を求める理由の一つに、当該VCが運用するファンドの投資家への配慮が挙げられます。

他方で、特にスタートアップ企業にとっては、VCは、資金提供のみならず、ノウハウ・経験・人脈等をも提供してくれる良きサポーターとなり得ます。

例えば、スタートアップ企業には人脈がなく、新たな取引先や顧客の開拓が容易ではありませんが、VCも投資先企業の事業が上手く行けば、獲得するリターンが大きくなるため、他企業とのマッチングやコンサルティングといったサポートを積極的に行います。

また、スタートアップ企業は、コア事業をどの市場で展開するか、どんなユーザーがいて、どんなニーズがあるのか、市場調査や分析を行う必要がありますが、VCは、自身の持つノウハウや経験に基づき、投資先企業と連携し、いわゆるSTPマーケティング支援を行います。

VCが細かな内容の投資契約の締結を求めてくる場合、それは、当該VCの投資家が厳しいことのあらわれであるとも言え、それだけ、優良・強力なサポーターである可能性もあります。

投資契約締結に消極的になる余り、このようなサポーターを失うことはもったいないとも考えられます。

4.最後に

投資契約の内容が複雑であればあるほど、当然、専門家によるしっかりとした助言・監査が必要となります。

そこで、投資契約は、必ず経験のある弁護士に作成してもらうか、リーガルチェックを受けるようにしてください。

[1] ベンチャーキャピタル(venture capital、略称:VC)とは、ハイリターンを狙ったアグレッシブな投資を行う投資会社(投資ファンド:複数の投資家から集めた資金を用いて投資を行いそのリターンを分配する仕組み)のことです。主に高い成長率を有する未上場企業に対して投資を行い、資金を投下します。経営コンサルティングなどを提供し、投資先企業の価値向上を図る企業もありますし、担当者が取締役会等にも参加し、経営陣に対して監視・コントロール・指導を行うこともあります。

高橋敬太郎
弁護士高橋 敬太郎
慶應義塾大学法学部法律学科卒業・同大学法科大学院修了。ベリーベスト法律事務所に入所後、クロスボーダーM&A案件及び企業間訴訟を中心に取り扱う。"For the client"の精神の下、ご依頼者様の真の課題を共に探り、共に解決してゆくことを心掛けている。
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