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その広告、大丈夫?優良誤認表示にならないための3つのポイント

2022年4月25日
その広告、大丈夫?優良誤認表示にならないための3つのポイント

自社の商品やサービスの広告を出すときには、競合他社のものよりも少しでもよく見せたいものです。
もちろん、広告に虚偽の内容があってはいけないことは誰もが知っています。
広告の表現はどこまでが許されて、どこからがNGであるかをご存じでしょうか。

そもそも、広告にはどのような規制があるのでしょうか。
ここでは、不当表示のひとつである「優良誤認」について、実際にあった事例をとりあげて解説します。

1.不当表示とは

景品表示法で定められている「不当表示」とは、商品・サービスの品質や価格などについて虚偽や誇張、誤認させるような表現で消費者を不当に誘い込み、公正な販売競争を阻害するおそれのある表示をいいます。

(1)景品表示法ってどんな法律?

消費者は、より良い商品・サービスを求めています。
しかし、広告やパッケージなどに実際よりも良いものと見せかける表示がされていると、消費者が不利益を被る可能性があります。
このような不当な表示から消費者の利益を保護するための法律が「景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)」です。

(2)不当表示の3つの種類

不当表示は、大きく分けると次の3つの種類があります。

  • 優良誤認表示
  • 有利誤認表示
  • その他誤認されるおそれのある表示

「優良誤認表示」とは、商品・サービスの品質、規格などについて事実に反して競争事業者のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認させる表示のことをいいます。
例えば、実際には国産有名ブランド牛ではないのに「国産有名ブランド牛の肉」であるかのように表示すると優良誤認表示となります。

「有利誤認表示」とは、価格を安くみせかけるなどして取引条件を著しく有利にみせかける表示のことを言います。
例えば、携帯電話の通信料を比較する際に自社に不利になる他社を除外したものであるのに、「安さナンバーワン」のように最も安いかのように表示すると有利誤認表示となります。

「その他誤認されるおそれのある表示」については、無果汁の清涼飲料水等や商品の原産国などについて誤認させる表示がこれにあたります。

なお、ここでいう「表示」とは、ネット上の広告やメール、テレビのCMやチラシ・ポスターなどにとどまらず、商品のパッケージや店頭でのディスプレイなども含まれます。
本稿でもこの意味で「表示」を使用します。

2.優良誤認表示とは

優良誤認表示とは、簡単に言うと、「これはとても良いものだ!」と消費者に思わせておいて、実際にはそうではない表示のことです。
また、合理的な根拠のない効果や性能の表示も優良誤認表示とみなされます。

次の3つに関する表示が事実に反して優良とみせかけるものをいいます。

  • 品質(商品の成分・原材料・純度・添加物や、性能・効果など)
  • 規格(国や公的機関、民間団体などが定める規格や等級など)
  • その他の内容(原産地・製造方法・受賞の有無など)

3.実際にあった優良誤認表示の3つの事例

ここでは、実際にあった事例をご紹介します。

(1)化粧品(石けん)の事例

令和2年6月、消費者庁は、化粧品等の通信販売業者である有限会社ファミリア薬品が自社Webサイトや情報紙などに掲載した広告が優良誤認表示であるとして、措置命令を出しました。

「年齢のせいにしていた、そのシミ… 老斑が消えた!?」

「そして…今すでに出来ているシミを薄くする。」

と、あたかもこの石けんを使用することでシミを消したり薄くしたりできるかのように表示していました。
しかしながら、同社から提出された根拠資料は、この表示を裏付ける合理的な根拠を示すものであるとは認められませんでした。

なお、この広告では、「※個人の感想です。」とも表示されていました。
しかし、消費者庁は、この表示は一般消費者が認識するこの商品の効果を打ち消すものではないと判断しました。

参考:消費者庁「有限会社ファミリア薬品に対する景品表示法に基づく措置命令について」

(2)除菌関連商品の事例

令和4年1月、消費者庁は、大幸薬品株式会社の空間除菌剤「クレベリン」に関する表示が優良誤認表示であるとして、措置命令を出しました。

「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」

「身の回りの空間のウイルス・菌を除去する」

などと表示し、パッケージに記載されたとおりに使用すれば、商品から発生する二酸化塩素の作用により、記載のとおりの効果が得られるかのように表示していました。
ところが、同社が提出した根拠資料は、この表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められませんでした。

参考:消費者庁「大幸薬品株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」

(3)新型コロナウイルス関連商品の事例

令和3年3月、消費者庁は、株式会社GSDがマイナスイオン発生器「オーリラ」についての表示が優良誤認表示であるとして、措置命令を出しました。

「空気中に浮遊するウイルス・菌・ダニの死骸やフンなどのアレル物質を分解し不活性化」

「人体に大きな影響を与える空気中の有害物質や、生命の危険を伴うウイルスを分解・除去することが実証されております」

と、その商品を使うことで、マイナスイオンの作用によってアレルギー物質を分解し不活性化する効果や、浮遊するインフルエンザウイルスを99.9%除去する効果、浮遊するカビ菌の分解・除去などの効果が得られるかのように表示していました。
ところが、同社が提出した根拠資料は、この表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められませんでした。

参考:消費者庁「株式会社GSDに対する景品表示法に基づく措置命令について」

4.優良誤認と判断されたら返金しないといけない?

景品表示法違反があった場合には、以下の行政処分が科されます。

(1)措置命令について

優良誤認などの景品表示法違反が認められた場合は、消費者庁は「措置命令」を出します(同法7条)。「措置命令」とは、違反行為の是正や再発防止に必要な措置を命じる行政処分のことです。

措置命令は、事業者に罰金を科すものではありません。
また、措置命令が出ても、事業者には消費者への返金対応までは義務付けられていません。
しかし、措置命令の内容は消費者庁のWebサイトで公開され、報道されることもあるため、企業にとってはレピュテーションリスクとなることに注意が必要です。

(2)課徴金納付命令について

優良誤認などの不当表示によって利益を得た場合には、「課徴金納付命令」が出されます(同法8条)。
「課徴金納付命令」とは、不当表示によって得た売上の一部を国に納めることを命じるものです。
この課徴金の額は、最長3年分の不当表示の対象となった商品・サービスの売上額の3%に相当する額になります。
ただし、計算した課徴金が150万円未満の場合、課徴金は課されません。

なお、優良誤認などの不当表示を防止するため、事業者は、その規模や業態、取り扱う商品・サービスの内容に応じて必要な措置を講じることが求められています(同法26条)。
消費者庁は、表示に関する措置について事業者に指導・助言をすることができます(同法27条)。
また、事業者が正当な理由なく講じるべき措置を講じていないときは、消費者庁は必要な措置を講じるべき旨の勧告をすることができます(同法28条)。

5.優良誤認にならないための3つの対策

自社の商品・サービスの広告等が優良誤認にならないようにするためには、あらかじめ次の3つの対策をとる必要があります。

(1)第三者によるチェック体制を構築する

景品表示法についての知識を持たない現場の担当者がいくら気を付けていても、その表示が不当表示として処分の対象になる可能性があります。

そのため、社内のコンプライアンス部門などが第三者としての視点から表示をチェックする体制を構築する必要があります。
景品表示法や違反事例をよく知る弁護士にチェックしてもらうのが理想的です。
特に、健康食品や化粧品などの薬機法による広告規制対象となる商品ついては、専門家によるチェックを受けることが望ましいでしょう。

(2)表示の根拠を調査する

商品・サービスの表示が優良誤認表示にならないためには、その表示の根拠となる客観的な資料を準備しておく必要があります。

準備した根拠資料を消費者庁の求めに応じて提出した場合であっても、根拠が不十分として措置命令を受けるケースもあります。
消費者庁のガイドラインを確認して、どのような資料をあらかじめ用意しておく必要があるのかを調べておきましょう。

参考:消費者庁「不実証広告ガイドライン」

(3)社内研修等で周知・啓発を行う

社内研修や勉強会を行って、表示に関係する従業員に商品知識や景品表示法の考え方を周知・啓発しましょう。
広告やパッケージを作成する人だけではなく、店頭のディスプレイやPOP広告の担当者など、幅広い業務を担当する従業員に周知する必要があります。

5.まとめ

消費者が安心して良い商品・サービスを選べる環境を守るために、事業者は商品・サービスの表示が優良誤認表示等の不当表示にならないように措置を講じる必要があります。
企業のレピュテーションリスクにもつながる不当表示を避けるためにも、弁護士等の専門家によるチェック体制を構築しておくと安心です。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

ベリーベスト 法律事務所弁護士編集部
ベリーべスト法律事務所に所属し、企業法務分野に注力している弁護士です。ベリーベスト法律事務所は、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、中国弁護士(律師)、それぞれの専門分野を活かし、クオリティーの高いリーガルサービスの提供を全国に提供している専門家の集団。中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも特徴のひとつ。依頼者様の抱える問題に応じて編成した専門家チームが、「お客様の最高のパートナーでありたい。」という理念を胸に、所員一丸となってひたむきにお客様の問題解決に取り組んでいる。
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