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意匠法改正で保護範囲が拡充! 企業が気を付けるべきポイントは?

2020年9月3日
意匠法改正で保護範囲が拡充! 企業が気を付けるべきポイントは?

1.はじめに

IoT、AI等のデジタル技術の発展やビジネスにおけるデザインの活用場面の多様化を受けて、2020年4月1日、意匠法が大きく改正・施行されました。

本コラムでは、意匠法の目的や意匠権の効力を確認したうえで、意匠法の改正点と企業が留意すべきポイントについて解説いたします。

2.意匠法とは?

意匠法とは?

(1)意匠法の目的

意匠法は、産業用デザインの保護と創作の奨励を目的とする法律であり、デザインの活性化を通じて産業の発達に寄与することを目的としています。

意匠法の保護の対象となる「意匠」とは、視覚を通じて美感を起こさせるものとされ(意匠法第2条)、工業上利用することができるものが保護の対象です(意匠法第3条)。
そのため、農業、漁業により生産されたものや、量産不能な美術品は、意匠法の保護の対象外です。

(2)意匠権の効力

工業上利用できる意匠の創作をした者は、一定の要件の下、意匠登録を受けることにより意匠権者となることができます(意匠法第3条)。

意匠権者は、意匠権を侵害する者又は侵害するおそれのある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求し、侵害の行為を組成した物品、建築物若しくは画像若しくは画像を記録した記録媒体若しくは内蔵する機器又はプログラム等若しくはプログラム等を記録した記録媒体若しくは記憶した機器の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却を求めることができるほか(意匠法第37条)、損害賠償請求(民法第709条)等の民事上の救済を求めることもできます。

他方、他人の意匠権を侵害した者は、上記のとおり、侵害の行為を組成した物品等を廃棄等させられたり損害を賠償させられたりするリスクを負う上に、故意により意匠権を侵害した場合は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金を科されるなどの刑事責任を問われる可能性があります(意匠法第69条以下)。

3.意匠法は2020年4月からどう変わったか?-特に重要な改正点に絞って解説!-

意匠法は2020年4月からどう変わったか?-特に重要な改正点に絞って解説!-

(1)保護対象の拡充(意匠法第2条)

① 条文

ⅰ 改正前

第2条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるものをいう。

2 前項において、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合には、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であって、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるものが含まれるものとする。

3 この法律で意匠について「実施」とは、意匠に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為をいう。

4 この法律で「登録意匠」とは、意匠登録を受けている意匠をいう。

 

ⅱ 改正後

第2条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様、若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第2項、第37条第2項、第38条第7号及び第8号、第44条の3第2項第6号並びに第55条第2項第6号を除き、以下同じ。)であって、視覚を通じて美観を起こさせるものをいう。

2 この法律で意匠について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。

一 意匠に係る物品の製造、使用、譲渡、貸渡し、輸出若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為

二 意匠に係る建築物の建築、使用、譲渡若しくは貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為

三 意匠に係る画像(その画像を表示する機能を有するプログラム等(特許法(昭和34年法律第121号)第2条第4項に規定するプログラム等をいう。以下同じ。)を含む。以下この号において同じ。)について行う次のいずれかに該当する行為

イ 意匠に係る画像の作成、使用又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出(提供のための展示を含む。以下同じ。)をする行為

ロ 意匠に係る画像を記録した記録媒体又は内蔵する機器(以下「画像記録媒体等」という。)の譲渡、貸渡し、輸出若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為

3 この法律で「登録意匠」とは、意匠登録を受けている意匠をいう。

第8条の2 店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「内装」という。)を構成する物品、建築物又は画像に係る意匠は、内装全体として統一的な美観を起こさせるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。

② 改正前の意匠法の保護対象

意匠法で保護される対象は物品の形状等とされていたため、意匠と物品との結びつきが必要でした。
そして、物品は原則として有体物である動産を指すと考えられていました。
したがって、無体物である画像デザインは、物品と一体のものとして認められる以外には、保護の対象になりませんでした。
また、不動産は流動性を有しないため、工業上利用できる意匠に該当しないと考えられてきたため、建築物も保護の対象になりませんでした。

③ 改正後の意匠法の保護対象

ⅰ 画像について

今回の改正により、物品に加えて、物品に記録・表示されていない「画像」デザインも保護の対象になりました。
これにより、クラウド上の画像やソフトウェアやアプリ上のネットワークを通じてその都度提供される画像、VRに用いられる仮想空間内における配置等の表現も保護の対象となったのです。

意匠登録を受ける方法には、㋐物品から離れた画像自体(以下「画像意匠」といいます。)として保護を受ける方法と㋑物品又は建築物の部分としての画像を含む意匠(以下「物品等の部分に画像を含む意匠」といいます。)として保護を受ける方法の2通りの方法があります。
以下、㋐画像意匠と㋑物品等の部分に画像を含む意匠に分けて保護の対象となる画像について詳しく見ていきます。

㋐ 画像意匠

画像意匠とは、より詳しくは、その画像を表示する物品や建築物を特定することなく、画像それ自体を意匠法による保護の客体とする意匠のことをいいます。

意匠法が、意匠権という強力な独占権を付与するものであることから、あらゆる画像を意匠法の意匠とすることは適切ではありません。そこで、意匠法第2条は、意匠法による保護の対象となる画像を、➊「機器の操作の用に供されるもの」又は➋「機器がその機能を発揮した結果として表示されるもの」に限ると定義しています。

➊ 機器の操作の用に供される画像(以下「操作画像」といいます。)

引用:特許庁

➋ 機器がその機能を発揮した結果として表示される画像(以下「表示画像」といいます。)

引用:特許庁

上記➊又は➋に該当しない画像、例えば、映画やゲーム等のコンテンツや壁紙等の装飾的な画像については、画像意匠には該当しません。

また、画像意匠として意匠登録を受けるためには、一の意匠として創作のまとまりがあり、かつ上記➊又は➋に該当するものでなければなりません。

㋑ 物品等の部分に画像を含む意匠

➊ 物品の部分としての画像を含む意匠

物品の部分としての画像を含む意匠を構成するものは、物品に記録され、物品の表示部に記録された、以下の㈠又は㈡の少なくともいずれか一方に該当する画像です。

㈠ 画像を表示する物品の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供されるもの(以下「物品の機能を発揮するための操作画像」といいます。)

<物品の機能を発揮するための操作画像に該当するものの例>

引用:特許庁

㈡ 画像を表示する物品の機能を果たすために必要な表示を行うもの

(以下「物品の機能にとって必要な表示画像」といいます。)

引用:特許庁

上記㈠及び㈡のいずれにも該当しない画像、例えば、映画やゲーム等のコンテンツについては、「物品の部分としての画像を含む意匠」を構成するものとはされません。

➋ 建築物の部分としての画像を含む意匠

建築物の部分としての画像を含む意匠を構成するものは、建築物に記録され、建築物の表示部に示された、以下の(一)又は(二)の少なくともいずれか一方に該当する画像です。

(一)画像を表示する建築物の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供されるもの

(二)画像を表示する建築物の機能を果たすために必要な表示を行うもの

ⅱ 建築物について

改正意匠法第2条第1項は、有体物の動産である「物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合」と並べて、「建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)」の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合も意匠法上の意匠に該当すると定義しています。
したがって、建築物のデザインも保護の対象になりました。前述のように、従来は、建築物は工業上利用できる意匠に該当しないと考えられてきたため、意匠法の保護の対象になりませんでした。
今回の改正により、建築物の意匠の場合に、工業上利用することができるとは、同一のものを複数建築し得ることをいい、現実に工業上利用されていることを要せず、その可能性を有していれば足りるとされています。

ⅲ 内装について

改正意匠法第8条の2は、「店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「内装」という。)を構成する物品、建築物又は画像に係る意匠は、内装全体として統一的な美観を起こさせるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。」と規定し、内装デザインが保護の対象となる旨を定めています。したがって、壁や床などの装飾により構成される内装デザインも保護の対象になりました。

③ 改正によるメリット

ⅰ 画像デザインについて

近年、AI等の新しいデジタル技術を活用したビジネスでは、ユーザーとスマホアプリ等の機器との接点となる画像デザインの重要性が高まっています。
また、センサー技術や投影技術の発展により、物品に表示されず、壁や人体等に投影される画像が出現し、利用者は場所にかかわりなく、機器を操作することが可能となっています。
これらの画像については、多額の投資を行って開発されるものが多いため、意匠権で保護し、研究開発投資の回収を容易に行えるようにすることが必要です。

ところが、旧意匠法では、画像デザインは物品との結びつきが必要とされ、物品の部分としての保護を受けられるにすぎなかったため、簡単に真似をされてしまい、画像デザインを創作するインセンティブが失われていました。
今回、「画像」の保護が可能になったことで、あらたな創作活動につながっていくことが期待できます。

ⅱ 建築物、内装のデザインについて

昨今、企業が、店舗の外観や内装に特徴的な工夫を凝らしてブランド価値を創出し、サービスの提供や製品の販売を行う事例が増えています。
こうしたデザインについては、多額の投資を行って設計されることも多いため、意匠権で保護し、他社による模倣を防止することが重要です。

今回の意匠法の改正により、建築物と内装の保護が可能となったことで、企業のデザインによるブランド構築への貢献が期待できます。

(2)関連意匠制度の見直し(意匠法第10条)

① 条文

ⅰ 改正前

第10条 意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、当該関連意匠の意匠登録出願の日(第15条において準用する特許法第43条第1項又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による優先権の主張を伴う意匠登録出願にあっては、最初の出願若しくは1900年12月14日にブラッセルで、1911年6月2日にワシントンで、1925年11月6日にヘーグで、1934年6月2日にロンドンで、1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約第4条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日。以下この項において同じ。)がその本意匠の意匠登録出願の日以後であって、第20条第3項の規定によりその本意匠の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第4項の規定により同条第3項第4号に掲げる事項が記載されたものを除く。)の発行の日前である場合に限り、第9条第1項又は第2項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。

2(略)

3 第1項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、意匠登録を受けることができない。

4(略)

ⅱ 改正後

第10条 意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、当該関連意匠の意匠登録出願の日(第15条第1項において準用する特許法第43条第1項又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による優先権の主張を伴う意匠登録出願にあっては、最初の出願若しくは1900年12月14日にブラッセルで、1911年6月2日にワシントンで、1925年11月6日にヘーグで、1934年6月2日にロンドンで、1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約第4条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日。以下この項において同じ。)がその本意匠の意匠登録出願の日以後であって、当該本意匠の意匠登録出願の日から10年を経過する日前である場合に限り、第9条第1項又は第2項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。ただし、当該関連意匠の意匠権の設定の登録の際に、その本意匠の意匠権が第44条第4項の規定により消滅しているとき、無効にすべき旨の審決が確定しているとき、又は放棄されているときは、この限りでない。

2・3(略)

4 第1項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、当該関連意匠を本意匠とみなして、同項の規定により意匠登録を受けることができるものとする。当該意匠登録を受けることができるものとされた関連意匠にのみ類似する意匠及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠にのみ類似する意匠についても、同様とする。

5 前項の場合における第1項の規定の適用については、同項中「当該本意匠」とあるのは、「当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠」とする。

6~8(略)

② 関連意匠制度とは?

関連意匠制度は、自己が出願した意匠に類似している意匠(関連意匠)を意匠登録できる制度をいいます。

本来、複数の類似する意匠が出願された場合には、先に出願された意匠しか意匠登録を受けられないのが原則なので(意匠法第9条第1項)、意匠登録されたデザイン(本意匠)と似たデザインを後から出願しても、意匠権を登録することはできません。
しかし、これでは意匠権者が本意匠にバリエーションを持たせたデザインを次々に開発しても、それらは意匠登録できないことになってしまいます。
そこで、意匠権者が本意匠の登録から一定期間内に出願すれば、本意匠に類似する意匠も関連意匠として登録を認めることにしているのです。

③ 関連意匠として意匠登録を受けるための要件

以下の3つの要件を全て満たす必要があります。

ⅰ 本意匠と同一の意匠登録出願人による意匠登録出願であること

ⅱ 本意匠に類似する意匠に係る意匠登録出願であること

ⅲ 基礎意匠(最初の本意匠)の意匠登録出願の日(優先権主張の効果が認められる場合は優先日)以後、10年を経過する日前に出願された意匠登録出願であること

 

ⅰ 本意匠と同一の意匠登録出願人による意匠登録出願であること

関連意匠と意匠登録出願人は、本意匠の意匠登録出願人(本意匠について意匠権の設定の登録がなされている場合は本意匠の意匠権者)と同一でなければなりません。

ⅱ 本意匠に類似する意匠に係る意匠登録出願であること

出願された意匠が関連意匠として意匠登録を受けるためには、本意匠に類似するものでなければなりません。
関連意匠と本意匠が同一である場合は、関連意匠として意匠登録を受けることができません。

ⅲ 基礎意匠の意匠登録出願の日(優先権主張の効果が認められる場合は優先日)以後、10年を経過する日前に出願された意匠登録出願であること

関連意匠は、その意匠登録の出願の出願日が、基礎意匠の意匠登録出願の出願日以後であって、出願日から10年経過する日前でなければなりません。

④ 改正前の出願可能期間と登録範囲

ⅰ 関連意匠の出願可能期間は、本意匠の登録出願の日から本意匠の意匠広報(意匠権者の氏名等の必要事項が掲載されるもの)の発行の日前までとされており、平成30年では、その期間はおよそ8カ月程度に過ぎませんでした。

ⅱ 旧意匠法第10条第3項は、「第一項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、意匠登録を受けることができない。」と規定し、本意匠に類似するもののみの登録しか認めていませんでした。

⑤ 改正後の出願可能期間と登録範囲

ⅰ 関連意匠の出願可能期間が、本意匠の出願から10年間に延長されました。

ⅱ 本意匠に類似する意匠だけではなく、本意匠には類似しないが、関連意匠に類似する意匠も意匠登録が可能となりました。

⑥ 改正によるメリット

関連意匠の出願期間が大幅に延長されたことで、同一のコンセプトの商品を長期間展開していくことが容易になりました。

また、第10条第4項により、意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、当該関連意匠を本意匠とみなして意匠登録ができるようになったことにより、関連意匠にのみ類似する意匠についても連鎖的に保護できるようになったため、同一コンセプトのデザインに様々なバリエーションをもたせて長く開発し続けることが可能となりました。
これによって、企業は、自社の開発した優れたデザインを発展・進化させ、長期的なブランド構築を行うことができるようになりました。

(3)意匠権の存続期間の変更(意匠法第21条)

① 条文

ⅰ 改正前

第21条 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、設定の登録の日から20年をもって終了する。

2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録の日から20年をもって終了する。

ⅱ 改正後

第21条 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。

② 改正前の意匠権の存続期間

意匠権の存続期間は、設定の登録の日から20年をもって終了するとされていました。

③ 改正後の意匠権の存続期間

意匠権の存続期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了するとされました。

④ 改正によるメリット

意匠権の存続期間が延長されたことで、企業は、より長期的なブランド価値の構築が可能となりました。

ただし、旧意匠法では、「設定の登録の日から」と規定されていましたが、改正後は、特許権や実用新案権と同様、意匠「登録出願の日から」に変更になっている点には注意が必要です。

(4)間接侵害規定の拡充(意匠法第38条)

① 条文

ⅰ 改正前

第38条 次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。

一 業として、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為

二 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業としての譲渡、貸渡し、又は輸出のために所持する行為

ⅱ 改正後

第38条 次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。

一 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為

イ 当該製造にのみ用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為

ロ 当該製造にのみ用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為

二 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であって当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為

イ 当該製造に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為

ロ 当該製造に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為

三 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為

四 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物の建築に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為

イ 当該建築にのみ用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為

ロ 当該建築にのみ用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為

五 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物の建築に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であって当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為

イ 当該建築に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為

ロ 当該建築に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為

六 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物を業としての譲渡又は貸渡しのために所有する行為

七 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る画像の作成に用いる物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について業として行う次のいずれかに該当する行為

イ 当該作成にのみ用いる物品若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為

ロ 当該作成にのみ用いる画像又はプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為

八 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る画像の作成に用いる物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であって当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為

イ 当該作成に用いる物品若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為

ロ 当該作成に用いる画像又はプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為

九 登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像を業としての電気通信回線を通じた提供のために保有する行為又は登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像記録媒体等を業としての譲渡、貸渡し若しくは輸出のために所持する行為

② 改正前の間接侵害の範囲

2.(2)の「意匠権の効力」で述べたように、他人が意匠権者の許諾なしに登録意匠と同一・類似のデザインを使って物品の製造、販売、輸入等を行えば、原則として意匠権の侵害となります。これを直接侵害といいます。

意匠法は、この直接侵害に加えて、意匠権の侵害を誘発する蓋然性が極めて高い予備的行為についても、間接侵害として意匠権を侵害するものとみなしています。

改正前は、登録意匠またはこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ使用するもの(専用品)を意匠権者に無断で製造、譲渡、輸入等する行為を間接侵害と規定していました。

③ 改正後の間接侵害の範囲

侵害品を構成部分に分割して製造、譲渡、輸入等した場合でも、意匠権の侵害を誘発する蓋然性があることを知りながらそのような行為を行った場合には、その構成部分が専用品でなくても、間接侵害にあたるとされました。

④ 改正によるメリット

取り締まりを回避する目的で、意匠権を侵害する製品の完成品を構成部品に分割し、非専用品のように見せかけて輸入する手口等に対応できるようになりました。
これにより、従来よりも取り締まりが強化され、意匠権の保護される場面が広がりました。

4.意匠法改正で企業が留意すべきことは?

今回の改正により、「物品」のみならず、「画像」、「建築物」、「内装」も保護の対象になったことから、これまで意匠法とあまり関係のなかった業界、特にWebアプリにかかわる業界や、建築・内装にかかわる業界の方も、他者の意匠権を侵害していないかについて留意していく必要があります。
また、多額の費用をかけて制作した自社のデザインを他社に真似されないよう、積極的に意匠登録していく必要も生じてくるでしょう。

また、自社の開発したデザインが他者の関連意匠に抵触していないかについても、確認する必要が出てくるでしょう。

5.まとめ

今回は、意匠法の改正について解説いたしました。

改正のポイントは主に以下の3つです。

①「物品」のみならず、「画像」、「建築物」、「内装」も保護の対象に!

② 関連意匠の出願可能期間が本意匠の出願から10年間に延長!

③ 関連意匠にのみ類似する意匠も登録可能に!

今回の意匠法の改正により、意匠法の保護を受けることのできる場面が増える一方、他者の意匠権を侵害するおそれも増えることになると考えられます。

意匠権侵害の有無や、意匠登録の可否についての判断には、法的かつ専門的な検討が必要となります。
自社のデザインについて例えば他社デザインとの関係でご不安な点がある場合や新たに意匠登録をご希望される場合には、弁護士・弁理士にご相談されることをお勧めいたします。

柳秀哲
弁護士柳 秀哲
中央大学法学部卒業後、社会保険庁(当時)で勤務。 ベリーベスト法律事務所入所後は、主に労働事件、離婚事件、 交通事故事件等の一般民事事件のほか、刑事事件を手掛けています。 依頼者の気持ちに寄り添った仕事ができるよう日々精進しております。 どうぞ、よろしくお願いいたします。
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