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企業間取引で気を付けるべき保証(民法)の改正ポイントを弁護士が解説
1.はじめに
2020年4月1日に改正民法が施行されました。
今回の改正は、明治29年の民法制定以来の大幅な改正です。
本記事では、今回なされた改正の中でも、企業間取引において、考慮が必要となる場面が多い保証契約について、保証と連帯保証の違いを含め、保証締結時や締結後に特に注意すべき改正のポイントをまとめています。
ご覧いただいた方の一助となれば幸いです。
なお今回の改正において、保証契約における保証債務については、施行日の2020年4月1日以後の契約締結から適用されます(改正民法附則21条1項)。
今後は、新規の契約に備え、法改正に対応した取引基本契約書や各種契約書の準備などの対応が重要といえます。
既存の契約には影響しませんが、既存の契約の更新の場合には、同じく対応が必要となりますので、ご注意ください。
2.そもそも保証と連帯保証の違いは?
(1)保証とは
保証契約とは、金銭消費貸借契約、賃貸借契約や継続的売買契約などで債務者が債務を履行しない場合に保証人がその履行の責任を負うことを定めた契約をいいます。
保証債務は、あくまでも主債務が履行されない場合の補充的なものです。
この補充的性質から、保証人には、以下の抗弁権が認められています。
① 催告の抗弁権(民法452条)
債権者から請求された場合、保証人は、まず主たる債務者に催告するよう請求することができます。
② 検索の抗弁権(民法453条)
保証人が主たる債務者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まずは主たる債務者の財産に執行しなければなりません。
③ 分別の利益(民法456条・427条)
保証人が複数いる場合、各保証人の責任は保証人の人数で割った等しい割合のみとなり、債権者は各保証人に対し、その割合に応じた金額を請求できることになります。
もし、この割合による金額を超える部分について請求があっても、保証人は支払いを拒絶することができます。
(2)連帯保証とは
これらの保証人に認められた催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益を特約で排除したものを連帯保証といいます(民法454条)。
主たる債務者が債務を履行しない場合、債務者に資力があっても、複数の保証人がいても、請求された連帯保証人は債務の全額について弁済する責任を負うことになります。
このように、連帯保証人の責任は非常に重いものとなっています。
そして、実社会で締結される保証契約は、連帯保証契約であることがほとんどです。
また、企業間取引であれば「主たる債務者の商行為によって生じたもの」にあたるので、その債務の保証は連帯保証となります(商法511条2項)。[1]
企業間取引の種類は、売買契約、賃貸借契約、業務請負契約、代理店契約などの様々な契約形態もさることながら、単発的なものから継続的なものまで多岐に渡ります。
このような取引における債務の保証のために、取引先の社長などの個人が連帯保証人となることも多いと思われます。
以下では、これらの保証の場合に、重要な改正ポイントについて具体的に見ていくこことしましょう。
3.保証における重要な改正ポイント
重要なポイントは、主に以下の7点です。
⑴ 公正証書による保証債務履行意思の確認が必要(契約締結前の注意点)
⑵ 個人根保証は、極度額を定めなければ無効(契約締結時の注意点)
⑶ 連帯保証人に対する履行請求などの効力は、主たる債務者には及ばないのが原則(契約締結時の注意点)
⑷ 主たる債務者から保証人への情報提供義務(契約締結時の注意点)
⑸ 債権者から保証人への情報提供義務(契約締結後の注意点)
⑹ 個人根保証の元本確定事由(契約締結後の注意点)
⑺ 求償権保証契約における規制
1つずつ見ていきましょう。
なお、改正民法における上記⑴から⑺の事項は、商法に規定がありませんし、明確な商慣習もないようですから、商人である企業の取引にも適用されることになります(商法1条2項後段)。[2]
(1) 公正証書による保証債務履行意思の確認が必要(契約締結前の注意点)
個人が保証人となる以下のⅰ~ⅳの保証契約では、保証契約締結に先立って、保証契約締結日の前1ヶ月以内に作成された公正証書で、保証人となる者が保証債務を履行する意思表示をしなければ無効となります(改正民法465条の6第1項・465条の8[3])。
(なお、主たる債務者の取締役・過半数株主・主たる債務者が個人事業主である場合の共同事業者・主たる債務者が行なう事業に現に従事している配偶者などが保証人となる、いわゆる経営者保証契約については適用除外です(改正民法465条の9)。)
ⅰ 金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下、「貸金等債務」といいます。)であって、事業のために負担するものを主たる債務とする保証契約
ⅱ 主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約(根保証契約については、次の⑵①参照)
ⅲ 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約
ⅳ 主たる債務の範囲にⅲの求償権に係る債務が含まれる根保証契約
(2)個人根保証は、極度額を定めなければ無効(契約締結時の注意点)
① 個人根保証とは
継続的な売買契約などを締結する際、その債務を保証するために、
「連帯保証人は、売主に対し、買主が本契約上負担する一切の債務を連帯して保証する。」
といった契約条項を付すことがあります(同じ契約書の中で定められていても、「売買に関する約定」という意味での売買契約そのものとは別個の契約です)。
このように、継続的な取引から将来発生する一切の不特定の債務について、まとめて保証するのが根保証です。
根保証の中で、法人ではなく、個人が保証人となる場合を個人根保証といいます。
② 極度額の定めが必要
もっとも、単発の取引における保証と異なり、継続的取引では多くの場合、保証契約締結の時点において、保証人が責任を負うことになる債務額が実際にいくらになるかが不明です。
このような過重な債務を負う危険がある保証人の保護の必要性が以前から議論されていました。
そこで、今回の改正において、個人根保証契約は、契約締結時に極度額(責任限度額)を定めなければ無効となりました(改正民法465条の2第2項[4])。[5]
なお、個人根保証ということからは当然ではありますが、法人が保証人となる場合(例えば親会社が保証をするときなど)は適用がありません。
上記の「極度額」とは、「根保証により担保することができる債権の合計額の限度」のことをいいます。
主債務の元本に限らず、利息及び損害賠償のすべてを含みます。
さらに、この極度額は、書面もしくは電磁的記録によって定めなければなりません(同条3項・446条2項、3項)。
③ 雛形改訂条項例
極度額を書面などで定めるために、実際には、基本取引契約書や各種契約書の連帯保証条項を変更しておく必要があるでしょう。
例えば、
「連帯保証人は、甲に対して、乙が本契約上負担する一切の債務を、極度額〇〇〇万円の範囲内において連帯して保証する。
などとなります。
※なお、極度額の定めには、根保証の要否及び必要とされる金額的な範囲についての保証人の予測可能性確保という観点から、具体的な金額の記載が必要になります。
たとえば、「賃料の3か月分」や「月額賃料の6か月分」という記載のみの場合、契約書の書面上具体的な金額が算定できませんので、無効となります。
しかし、契約書に「月額賃料10万円」などと計算の基準となる記載があれば、その書面上極度額が確定できますので有効とされます。
(3)連帯保証人に対する履行請求などの効力は、主たる債務者に及ばないのが原則(契約締結時の注意点)
①原則と例外
改正民法では、連帯保証人に対する履行の請求、免除及び時効の完成の効力が原則として相対効とされました(改正民法458条、441条)。 ※改正前民法では絶対効でした。
「履行の請求」を例にすると、相対効と絶対効とでは、次のような違いが生じます。
- 相対効の場合…連帯保証債務について、裁判上で履行の請求(裁判上の請求)をすると、連帯保証債務の消滅時効は更新されるが、主たる債務の消滅時効は更新されない
- 絶対効の場合…連帯保証債務について、裁判上で履行の請求(裁判上の請求)をすると、連帯保証債務の消滅時効が更新されるとともに、主たる債務の消滅時効も更新される(改正前民法での効力)
(「更新」とは、時効期間がリセットされることです。改正前民法の「中断」にあたる概念です。)
もっとも、別段の意思表示をすることで、原則として相対効しかない事由についても絶対効を生じさせることができることになりました(改正民法411条ただし書き)。
これにより、例えば、債権者と主たる債務者が、連帯保証人に対する裁判上の請求によって主債務の消滅時効が更新するという合意をすれば、改正前民法と同様に、連帯保証人に対する裁判上の請求により主債務の消滅時効を更新することができます。
また、今回の改正により、改正前民法においても相対効しかなかった(改正民法でも相対効が原則です。)、連帯保証人による債務の「承認」(改正民法152条1項)の場合でも、別段の意思表示をすることで、絶対効を及ぼすことができるようになりました。
②原則、相対効となったことで起きうる困った事態とは?
例えば、主たる債務者ではなく、連帯保証人が月々の債務の弁済をしてくれている場面です。
この場合、連帯保証人による弁済は、保証債務の「承認」にあたりますので、連帯保証債務の消滅時効は更新されることにはなります。
しかし、この消滅時効の更新の効果は主債務には及びません(相対効)ので、そのままでは主たる債務の消滅時効が完成してしまいます。
もし、主たる債務の消滅時効が完成してしまった場合、連帯保証人が主たる債務の消滅時効を援用すれば、連帯保証債務も消滅してしまうのです(付従性といいます。)。
連帯保証人が弁済してくれていたので時効消滅はないと安心していたら、突然、主たる債務の消滅時効を援用して、保証債務の支払いを拒まれるといった事態になりうる可能性があるということです。
そうすると、債権者としては、たとえ連帯保証人が弁済をしてくれていても、主たる債務の時効消滅阻止のためには、主たる債務者に対して訴訟提起などが必要になってしまいます。
③備えが必要
このような事態を防ぐためには、連帯保証人の債務の「承認」(保証債務の弁済など)により主たる債務の消滅時効が更新するという「別段の意思の表示」を、契約書のひな形などに記載しておけばよいということになります。
連帯保証人が弁済するごとに、主たる債務の消滅時効も更新することになるので、わざわざ訴訟提起などする必要がなくなるといえます。
(4)主たる債務者から保証人への情報提供義務(契約締結時の注意点)
次に、主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証または主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける保証人に対し、財産や収支状況などの情報を提供しなければなりません(改正民法465条の10)。
①提供すべき情報の内容は
ⅰ 財産、収支状況
ⅱ 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
ⅲ 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨と内容
②情報提供しなかった場合は
主たる債務者が、保証人に対して、この情報提供をせず、又は事実と異なる情報を提供したために、保証人が主たる債務者の財産状況などを誤解して保証契約を申し込んだ又は承諾した場合において、主たる債務者が情報提供義務を怠ったことについて債権者が知っていたときあるいは知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができます。
損害賠償請求などではなく、保証契約自体を取り消すことができてしまうのですから、かなり強力な条文といえるでしょう。
債権者から見れば、主たる債務者と保証人との間という取引相手側の事情にすぎないにもかかわらず、保証契約が取り消されてしまった場合、保証人がいなくなってしまい、債権者にも多大な影響が及ぶことになります。
また、債権者としては、主たる債務者が情報提供しなかったことを知っていた場合のみならず、知ることができた場合にまで取り消されてしまう可能性があるので、かなり厚く保証人保護が図られているといえるでしょう。
③備えが必要
主たる債務者である取引相手と契約し、その社長が保証人となる場合には、主たる債務者の財産状況などは当然知っていますから、あまり問題にはなりません。実際に問題となるのは、第三者が保証人になる場合でしょう。
この場合にも、主たる債務者が財産状況などの情報を保証人に提供したことを確認し、書面などで証拠化しておくことが大事といえます。
上記⑵の場合と同様、契約書などのひな形に、情報提供についての確認条項を追加していくことが必要になると考えられます。
(5)債権者から保証人への情報提供義務(契約締結後の注意点)
①情報提供義務は2つ
ⅰ 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証した場合、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務者の元本、利息、違約金、損害賠償などの債務の不履行の有無並びに残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければなりません(改正民法458条の2)。
ⅱ 債権者は、主たる債務者が期限の利益を喪失した場合、保証人に対し、その利益の喪失を知ったときから2ヶ月以内に通知しなければなりません(改正民法458条の3)。
②ⅰについて
この条文が制定されたことで、保証人からの問い合わせに対して、債権者が債務者との間で仮に守秘義務を負っていたとしても、債務者の財務状況などについて答えてもよいということになります。
逆に、保証人からの問い合わせに対して返答しなかった場合などは、債権者がその義務を果たさなかった債務不履行として損害賠償や保証契約の解除の可能性が出てきますので、注意が必要です。
③ⅱについて
この条文が定められたのは、期限の利益喪失前の利息などの利率が数パーセントであるのに対し、期限の利益喪失後には遅延損害金の利率が10数パーセントとなる契約が多いことに起因しています。
保証人にしてみれば、期限の利益喪失を知らず、かつ、その知らない期間が長期間に及べば及ぶほど、予想外に重い遅延損害金の負担を迫られる可能性があることになります。
そこで、保証人保護の観点から、早めに期限利益喪失を通知する制度が作られました。
通知をしなかったときは、期限の利益を喪失した時から通知を現にするまでに生じた遅延損害金を保証人に請求できなくなってしまいます。
(6)個人根保証契約の元本確定事由(契約締結後の注意点)
今回の改正により、個人根保証契約一般において、
ⅰ 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払いを目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき(ただし、強制執行又は担保権実行の手続の開始があったときに限る)
ⅱ 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき
ⅲ 主たる債務者又は保証人が死亡したとき
に、主たる債務の元本が確定することになりました(改正民法465条の4第1項)。
改正前民法では、上記ⅰ~ⅲは個人貸金等根保証契約の場合にのみ元本確定事由とされていましたが、契約締結後に著しい事情変更があったといえる場合、保証人の責任拡大を防止すべきことは、個人根保証契約一般にもあてはまると考えられたからです。[6]
(7)求償権保証契約における規制
保証人が法人である根保証契約において極度額が定められていなければ、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権[7]に係る債務を主たる債務とする求償権保証契約(個人が保証人となるものに限ります。)は無効となります(改正民法465条の5第1項、第3項)。[8]
根保証契約に極度額の定めがない場合(法人が保証人となる根保証契約では極度額の定めは不要です。)、主たる債務者に対する求償権についての保証契約の保証人が予想外の過大な保証責任を負う可能性があるので、それを防止する趣旨です。
また、根保証契約の保証人を法人にして、その法人が持つ求償権を個人に保証させることで、これまで見てきました個人根保証契約の規制が及ばないようにするという脱法行為を防止する意義もあります。
4.最後に
以上見てきましたように、今回の保証分野における民法改正では、法人ではない個人が保証人となったときに、知らない間に過大な負担を強いられることを防止することに主眼が置かれています。
事業に関する取引をする場合、取引相手に保証人を立ててもらう場合のみならず、こちらが保証人を立てる場合にも注意が必要です。
これらの保証人の多くが、個人の根保証人や連帯保証人となっていると考えられ、今回の法改正の対象となると思われます。
紛争予防のために、企業間取引の契約締結や更新についての疑問点や不安なことがある場合には、企業法務の経験豊富な法律事務所にご相談されるといいでしょう。
[1] 商法511条2項 保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。
[2] 商法1条1項 商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の定めるところによる。
2項 商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法(明治29年法律第89号)の定めるところによる。
[3] 改正民法465条の6第1項 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
改正民法465条の8第1項 第465条の6第1項及び第2項並びに前条の規定は、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約について準用する。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。
第2項 前項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。
[4] 改正民法465条の2第1項 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
第2項 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
[5] 改正前民法では、個人が締結する貸金等根保証契約(貸金等債務の根保証契約)において極度額の定めが必要でしたが、今回の改正により、貸金等根保証契約に限らず、個人根保証契約においても必要となりました。
[6] 個人貸金等根保証契約では、主たる債務の元本確定期日を定めがある場合、その元本確定期日を契約締結日から5年を経過する日より後の日とする定めは無効となる(改正民法465条の3第1項)、またその定めがない場合には、契約締結日から3年を経過する日が主たる債務の元本確定期日となる(同条第2項)、さらに原本確定期日を変更する場合には、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後となるときは、その元本確定期日の変更は無効になる(同条第3項)など、主たる債務の元本確定について、個人根保証契約にはない規定があります。
[7] 求償権とは、他人の債務を代わりに支払った人が、肩代わりした分をその他人に請求する権利のことです。
[8] 保証人が法人である根保証契約であって、その主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定めもしくはその変更が改正民法465条の3第1項もしくは第3項の規定を適用するとすれば無効となるものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は無効となります。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も同様です(改正民法465条の5第2項)。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています