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建築基準法改正(2019年施行)は生活やビジネスにどんな影響を及ぼすのか

2022年4月4日
建築基準法改正(2019年施行)は生活やビジネスにどんな影響を及ぼすのか

建築基準法は、被災状況や社会経済情勢の変化などに応じて、随時見直しが行われる特徴があります。
直近の2019年施行の改正では、糸魚川市大規模火災や空き家問題を背景に見直しが行われました。
この法改正が、私達の暮らしやビジネスにどのような影響を及ぼすのか解説をしていきましょう。

1. 改正の概要

2019年施行の建築基準法改正では、大規模火災の教訓による安全性の確保や社会問題となった空き家対策を念頭に、主に次のような事項について改正が行われました。

  • 建築物を常時適法に維持するための維持保全計画の作成などが求められる建築物の範囲を拡大する
  • 防火地域・準防火地域において延焼防止性能の高い建築物の建ぺい率制限を10%緩和する
  • 用途変更に伴って建築確認が必要となる規模を200㎡超とする
  • 耐火構造などとすべき木造建築物の対象を高さ16m超・階数4以上とする
  • 耐火建築物としなければならない特殊建築物の対象を縮小する
  • 大規模建築物の規制緩和を図る
  • 老人ホームなどに係る容積率制限において、共用廊下などを算定基礎となる床面積から除外する
  • 興行場などの仮設建築物の存続期間が1年を超えるものも許可により可能とする

これらの中から、私達の暮らしやビジネスに影響を及ぼす事項をピックアップして解説をしていきましょう。

2.  準防火地域における建ぺい率制限の10%緩和

平成28年12月に新潟県糸魚川市で発生した、焼損棟数が100棟を大きく超える大火災は記憶に新しいところです。
多くの建物が、築年数が古く防火性能を有していなかったことが被害拡大の要因になったと指摘されています。

旧法では、防火地域内にある耐火建築物が、建ぺい率緩和の対象となっていましたが、改正によって、対象地域が準防火地域にも拡大され、さらに準耐火建築物であっても、建ぺい率が10%緩和されます。

たとえば200㎡の敷地であれば、20平方メートル広い建築面積の建物が建てられます。
マンションだと、ワンフロア―につき1戸分プラスできますから、3階建てだと、旧法よりも3戸多く戸数を確保することができます。

建ぺい率制限が60%の準防火地域に、耐火建築物もしくは準耐火建築物を建てる場合、建ぺい率70%の規模まで建てられます。

従来、準防火地域における防火の考えは、建物相互間を一定距離保つことで延焼を防ぐというものでしたが、改正後の考えでは、むしろ耐火性能の高い建物をできる限り敷地いっぱいに建てることで延焼を防ぐ、いわば防火壁の役割を期待していることが分かります。

耐火建築物は、鉄筋コンクリート造の建物が中心となりますが、準耐火建築物であれば、比較的建築工事費が安い鉄骨造でも建築が可能です。
現在、準防火地域にアパートを所有しているのであれば、準耐火建築物のマンションへの建て替えにより、戸数が増やせるので、収益アップが期待できます。

なお、建ぺい率の緩和には、特定行政庁が指定する角地による建ぺい率の緩和制度がありますが、ここで取り上げた防火地域での緩和とは、まったく別の制度です。

3. 用途変更で確認申請を要するのは200平方メートル超

現在空き家の増加が社会問題となっています。
そのため、空き家の有効活用は、空き家対策の喫緊の課題とされています。
法改正により、特殊建築物への用途変更で確認申請を要する規模を100平方メートル超から200平方メートル超に緩和したことは、空き家の有効活用への一助となります。

用途変更で用途変更が必要となる特殊建築物とは、主に次の用途を指します(一部省略)。

  • 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
  • 病院、患者の収容施設がある診療所
  • 児童福祉施設、身体障碍者社会参加支援施設、老人福祉施設、有料老人ホーム、福祉ホーム、障害福祉サービス事業など
  • ホテル、旅館
  • 下宿、共同住宅、寄宿舎
  • 学校、体育館
  • 百貨店、マーケット、展示場
  • 博物館、美術館、図書館
  • ボーリング場、スポーツの練習場
  • 飲食店、物品販売業を営む店舗
  • 倉庫
  • 自動車車庫、自動車修理工場

多くの空き家は、延床面積が100平方メートルを超える規模ですから、旧法では喫茶店や福祉施設に用途変更をしようとした場合に確認申請が必要でした。
そのため、手続きの煩わしさから計画を断念した人も少なからず存在します。

200平方メートルを超える規模の空き家はそれほど多くはないため、法改正により、用途変更の確認申請が不要になれば、さらなる空き家の活性化が期待できます。

また事務所や学習塾については、そもそも特殊建築物に分類されていないことから、規模にかかわらず、建築確認申請をすることなく用途変更が可能です。
法改正により、こうした用途も含め、幅広い選択肢の中から、空き家活用ができるようになったのです。

ただし、建築物には用途制限がありますから、たとえば基本的に住宅系の建築物しか建てられない第一種低層住居専用地域などでは、たとえ確認申請が不要であっても、飲食店や旅館に用途変更することはできません。

4. 耐火建築物としなければならない特殊建築物の対象を縮小する

旧法では、上述の特殊建築物を3階以上の階に設ける場合、原則として耐火建築物などの耐火性能の高い建築物としなければなりませんでした。

法改正では、建物の階数が3で、延べ床面積が200平方メートル未満であれば、特殊建築物であっても、警報装置を設けるなどの措置をすることで、耐火建築物の義務規定から除外するとしています。

木造3階建ての活用範囲が広がることから、これまで利用が見送られていた空き家を利用したビジネスの展開が期待できます。

5. 大規模建築物の規制緩和を図る

旧法では、延べ床面積が1,000平方メートルを超える場合、防火上有効な一体構造の防火壁によって区画しなければならないとされていました(ただし耐火建築部や準耐火建築物は別の規定によります)。
建物を一体の壁で分断する形になるため、延床面積が2,000平方メートルの2階建て建物だと、ワンフロアーで確保できる空間は最大で500平方メートルでした。

改正法では、従前認められていなかった防火上有効な防火床による区画が活用できるようになりました。これにより、ワンフロアーで1,000平方メートルの大空間を確保することが可能になりました。

現在利用されていない大規模建物も、防火床の改修を実施することで、以前には想定できなかった用途への改修が期待できます。

6. 老人ホームの共用廊下は容積率の対象から除外する

容積率とは、建物の延べ床面積の敷地面積に対する割合をいいます。
たとえば容積率制限が200%の場合、敷地面積が100平方メートルであれば、建物は延べ床面積200平方メートルまでしか建てられません。

法改正では、老人ホームや福祉ホームその他これらに類する施設の共用廊下や共用階段は、この容積率の対象となる床面積から除外できます。
上の例でいえば、老人ホームの延ぺ床面積が240平方メートルであっても、そのうち廊下と階段の延べ床面積が40平方メートルであれば、容積率の対象となる床面積は200平方メートルとなり、容積率制限が200%の地域でも建築可能となります。

老人ホームの建て替えや増築により、従前より入居者の増大が見込めることから、福祉施策への貢献が期待できます。

なお、共同住宅(マンションやアパート)では、旧法においても、共用廊下、階段は容積率の対象から除かれていました。
法改正では、このような容積率の規制緩和対象を広げた形になります。

7. まとめ

土地が広く使えるようになる、建物も以前より自由に使えるといった改正により、空き家の活用法の選択肢が大きく広がりました。

そして、規制法はこのように常に変化しているので、専門家に相談することにより、見逃していたビジネスチャンスが見つかることも、あるかもしれません。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

ベリーベスト 法律事務所弁護士編集部
ベリーべスト法律事務所に所属し、企業法務分野に注力している弁護士です。ベリーベスト法律事務所は、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、中国弁護士(律師)、それぞれの専門分野を活かし、クオリティーの高いリーガルサービスの提供を全国に提供している専門家の集団。中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも特徴のひとつ。依頼者様の抱える問題に応じて編成した専門家チームが、「お客様の最高のパートナーでありたい。」という理念を胸に、所員一丸となってひたむきにお客様の問題解決に取り組んでいる。
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