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下請法の情報成果物作成委託とは?対象取引・対象行為や違反時の罰則をわかりやすく解説

2023年3月13日
下請法の情報成果物作成委託とは?対象取引・対象行為や違反時の罰則をわかりやすく解説

下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、下請事業構造の性質上、弱い立場に置かれる下請事業者を保護することによって、公正・円滑な経済社会の実現を目的とする法律です。

ただし、下請取引すべてに下請法が適用されるのではなく、取引内容や事業者の資本規模によって下請法の対象範囲が厳格に定められています。

そこで、今回は、下請法の対象取引のひとつである「情報成果物作成委託」について解説します。
あわせて、親事業者に課されている義務・禁止事項や、違反時のペナルティも紹介するので、さいごまでご一読ください。

1.情報成果物作成委託は下請法対象取引のひとつ

下請法の対象取引は以下4種類に区分されます。

  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 情報成果物作成委託
  4. 役務提供委託

したがって、情報成果物作成委託は下請法対象取引のひとつと考えられます。

2.下請法の情報成果物の種別

では、そもそも情報成果物作成委託における「情報成果物」とは何を指すのでしょうか。

下請法第2条6項では、情報成果物を次のように定義しています。

(定義)

第2条6項

この法律で「情報成果物」とは、次に掲げるものをいう。

1号 プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)

2号 映画、放送番組その他映像又は音声その他の音響により構成されるもの

3号 文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの

4号 前3号に掲げるもののほか、これらに類するもので政令で定めるもの

1号の「プログラム」には、TVゲームソフト・会計ソフトなどが当てはまります。
そして、2号の具体例は、アニメや動画作品などです。また、3号に該当するものとして、設計図・ポスターのデザイン・取扱説明書などが挙げられます。

なお、4号に該当するものを定める「政令」は現時点で存在しません。

3.下請法の情報成果物作成委託に該当する取引行為

つづいて、下請法の情報成果物作成委託に該当する取引行為について具体的に見ていきましょう。

下請法では、情報成果物作成委託について以下のような定めを置いており、3種類の取引形態に分類可能です。

(定義)

第2条3項

この法律で「情報成果物作成委託」とは、事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。

(1)情報成果物作成委託の取引類型1:提供品の作成委託

情報成果物作成委託の対象となる1つ目の取引類型は、「提供品の作成委託」に分類されるものです。
「情報成果物の提供を業とする事業者が、当該情報成果物の作成の行為の全部または一部を他の事業者に委託すること」を指します。

提供品の作成委託の流れは次の通りです。

  1. 「親事業者」が「下請事業者」に対して「情報成果物の作成の行為の全部または一部」を委託
  2. 「下請事業者」が「親事業者」に情報成果物を納入
  3. 「親事業者」が情報成果物を「消費者」に提供・販売

たとえば、ソフトウェア・メーカーが、他のソフトウェア・メーカーに対してゲームソフト・汎用アプリケーションソフトの開発を委託するケースが該当します。

(2)情報成果物作成委託の取引類型2:受託作成品の再委託

情報成果物作成委託の対象に含まれる2つ目の取引類型は、「受託作成品の再委託」です。
「情報成果物の作成を業として請け負っている事業者が、当該情報成果物の作成の行為の全部または一部を他の事業者に委託すること」を指します。

受託作成品の再委託の流れは次の通りです。

  1. 「元発注事業者」が「親事業者」に対して「情報成果物の作成」を発注
  2. 「親事業者」が「下請事業者」に対して「情報成果物の作成の行為の全部または一部」を委託
  3. 「下請事業者」が「親事業者」に対して情報成果物を納入
  4. 「親事業者」が「元発注事業者」に対して情報成果物を納入

たとえば、広告会社がクライアントからCM制作を受注し、広告会社がCM制作会社に制作業務を再委託するケースが具体例として挙げられます。

(3)情報成果物作成委託の取引類型3:自社使用品の作成委託

情報成果物作成委託の対象に含まれる3つ目の取引類型は「自社使用品の作成委託」と呼ばれるものです。
これは、「自社で使用する情報成果物の作成を業として行っている場合に、その作成の行為の全部または一部を他の事業者に委託するパターン」を意味します。

自社使用品の作成委託の流れは次の通りです。

  1. 「親事業者」が「下請事業者」に対して「情報成果物の作成の行為の全部または一部」を委託
  2. 「下請事業者」が「親事業者」に対して情報成果物を納入
  3. 「親事業者」が納入された情報成果物を自社内で使用

たとえば、家電メーカーが、社内で使用する経理ソフト・ホームページを自ら作成している場合に、当該経理ソフトの作成の全部または一部の業務をソフトウェア・メーカーに委託するケースが考えられます。

4.下請法の情報成果物作成委託の規制対象になる事業者要件

情報成果物作成委託が下請法の対象として扱われるには、先ほど紹介した3つの取引類型に該当するだけでなく、事業者要件も満たさなければいけません。

ここで注意を要するのが、「情報成果物が『プログラム(第2条6項1号)』に該当するか否かで情報成果物作成委託の事業者要件が異なる」という点です。

つまり、情報成果物作成委託が下請法の対象に含まれるかを判断する際には、「どのような種別の情報成果物か」を最初に確認したうえで、「情報成果物の種別によって求められる事業者要件を満たすか」をチェックすることになります。

(1)情報成果物委託(プログラムの作成)の事業者要件

「プログラムの作成」を委託する場合の親事業者・下請事業者の資本金規模要件は次の通りです。

親事業者の資本金規模 下請事業者の資本金規模
資本金3億円超の法人事業者 資本金3億円以下(個人事業者を含む)
資本金1千万円超3億円以下の法人事業者 資本金1千万円以下(個人事業者を含む)

(2)情報成果物委託(プログラムの作成を除く)の事業者要件

「プログラムの作成以外」を委託する場合の親事業者・下請事業者の事業規模要件は次の通りです。

親事業者の資本金規模 下請事業者の資本金規模
資本金5千万円超の法人事業者 資本金5千万円以下(個人事業者を含む)
資本金1千万円超5千万円以下の法人事業者 資本金1千万円以下(個人事業者を含む)

5.下請法の情報成果物作成委託規制に違反した場合の罰則

情報成果物作成委託が下請法の規制対象に含まれる場合、下請事業者の利益を確保する目的から、親事業者はさまざまな義務・禁止事項を遵守する必要に迫られます。

現行の下請法において親事業者に課されている義務・禁止事項は次の通りです。

親事業者に課された義務 親事業者の禁止事項
・3条書面の交付義務

・5条書面の作成義務・保存義務

・下請代金の支払期日を迅速に定める義務

・遅延利息の支払義務(年利率14.6%)

・受領拒否の禁止

・下請代金の支払遅延の禁止

・下請代金の減額の禁止

・返品の禁止

・買いたたきの禁止

・購入、利用強制の禁止

・報復措置の禁止

・有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止

・割引困難な手形の交付の禁止

・不当な経済上の利益の提供要請の禁止(協賛金など)

・不当な給付内容の変更・やり直しの禁止

公正取引委員会・中小企業庁は、下請法違反の有無をチェックするために、毎年、親事業者・下請事業者に対してさまざまな調査を実施しています。

そして、下請法違反のおそれがあると認められるケースでは、取引実態等が検査され、違反行為を行った事業者等に対してペナルティが科されるのが一般的な流れです。

  • 報告徴収
  • 立入検査
  • 是正措置等の勧告
  • 事業者名、違反事実の概要、勧告内容などを公表
  • (悪質な下請法違反が存在する場合には、法人代表者・当該行為者・法人自体に対して50万円以下の罰金刑あり)

まとめ

下請法の対象取引に該当すると、親事業者(発注側企業)・下請事業者(受注側企業)双方にとって複雑な法律問題が生じます。

たとえば、親事業者側の場合には、下請法違反を予防するコンプライアンス作成・下請法違反を指摘された場合の公正取引委員会への対応方法・契約書等のリーガルチェックなどが課題です。
これに対して、下請事業側の場合には、支払遅延発生時の延滞利息の請求方法・不当な代金減額請求や受け取り拒否トラブルに見舞われたときの対処方法などが懸念になるでしょう。

そもそも、「親事業者・下請事業者」という構造上の強弱関係が存在する以上、当事者同士だけでは円滑に交渉が進まないことも少なくありません。

したがって、「下請法違反を指摘されて困っている」「下請法違反を予防したい」「親事業者の下請法違反行為が原因で経済的損失を被っている」などのトラブルに巻き込まれた場合には、すみやかに弁護士などの専門家にアドバイスを求めましょう。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

ベリーベスト 法律事務所弁護士編集部
ベリーべスト法律事務所に所属し、企業法務分野に注力している弁護士です。ベリーベスト法律事務所は、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、中国弁護士(律師)、それぞれの専門分野を活かし、クオリティーの高いリーガルサービスの提供を全国に提供している専門家の集団。中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも特徴のひとつ。依頼者様の抱える問題に応じて編成した専門家チームが、「お客様の最高のパートナーでありたい。」という理念を胸に、所員一丸となってひたむきにお客様の問題解決に取り組んでいる。

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