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日本の製品及び技術の輸出等に対する規制

2019年5月30日
日本の製品及び技術の輸出等に対する規制

本日は日本の輸出など対外取引に対する規制についてご紹介したいと思います。様々な製品を海外に輸出する際には輸出規制にかからないかを確認する必要があります。ではどのような製品が規制を受けるのでしょうか。

1.輸出規制を規律する主要な法令

(1)まずは輸出入の税関手続きにかかる法律である関税法によれば第六十九条の二に以下のように規定されております。

①麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤

麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法に規定されるもの

②児童ポルノ

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び 児童の保護等に関する法律に規定されるもの

③特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権又は育成者権を侵害する物品

レコードなどのコピーやそのほかの知的所有権を侵害するもの

④不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第一項第一号から第三号まで又は第十号から第十二号まで(定義)に掲げる行為

コピー商品及び不正に取得したノウハウ等

上記のものは日本国内でも取引が基本的に禁止されています。

(2)次にそのほかの法令を見てみましょう。

①外国為替及び外国貿易法、輸出貿易管理令

武器・化学兵器、麻薬、ワシントン条約該当物品、特定有害廃棄物等

②文化財保護法

重要文化財又は重要美術品、天然記念物、重要有形民俗文化財

③鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

鳥、獣及びそれらの加工品、鳥類の卵等

④狂犬病予防法

犬、猫、あらいぐま、きつね、スカンク

⑤家畜伝染病予防法

偶蹄類の動物、馬、鶏、あひるなどの家きん、兎、みつばち及びこれらの動物の肉、ソーセージ、ハム等、稲わら

⑥植物防疫法

植物(顕花植物、しだ類又はせんたい類に属する植物(その部分、種子、果実及びむしろ、こもその他これに準ずる加工品を含む))、有害植物、有害動物(昆虫・ダニ等)

⑦道路運送車両法

中古自動車

上記の規制にかかる品目の輸出についてはすべてが禁止されているわけではありませんが、輸出の際には管轄の省庁の許可が必要であり、違反した場合には罰則もあります。

2.安全保障輸出管理に関する国際的取り組み国内規制

輸出規制の中で近年重要となってきているのは安全保障にかかる品目であり国際的な取り組みに基づき、日本の国内法令に規定されており、製品に着目して規制するのと同時に最終的な輸出国に着目した規制をしております。

(1)国際的取り組み(国際輸出管理レジーム)

①原子力供給国グループ(NSG)

参加国における原子力に関する技術及び資材・機材の取引の取り決め

②ザンガー委員会(ZC)

参加国内における原子力に関する技術及び資材・機材の取引の取り決め、こちらは核拡散防止条約に関するもの

③オーストラリア・グループ(AG)

参加国における化学兵器に関する技術及び資材・機材の取引の取り決め

④ミサイル技術管理レジーム(MTCR)

参加国における大量破壊兵器・化学兵器の運搬手段であるミサイルに関する技術及び資材・機材の取引の取り決め

⑤ワッセナー・アレンジメント(WA)

旧COCOMを基とした通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の移転の取り決め

(2)外国為替及び外国貿易法

上記の国際的な取り決めを基として国内の規制法令が制定されております。
日本では、外国為替及び外国貿易法と同法から委任を受けた輸出貿易管理令、外国為替令(これらの関連省令・告示を含む。)です。

外国為替及び外国貿易法は以下の規制体系により安全保障を脅かす危険性のある資材や技術の流出を防いでいます。

①リスト規制

取引の対象となる輸出品目、技術の内容に着目し、輸出等を制限する規制です。輸出貿易管理令の別表第一にリスト規制該当貨物、外国為替令の別表にリスト規制該当技術の記載があります。

国際輸出管理レジームにおける合意に基づき、大量破壊兵器やその他の通常兵器の開発等に用いられるおそれが高い技術及び資材・機材については輸出等に際して経済産業大臣の許可をうけることになっております。以下はその品目です。

1.武器 2.原子力 3.化学兵器、生物兵器 4.ミサイル
5.先端素材 6.材料加工 7.エレクトロニクス 8.電子計算機
9.通信 10.センサ 11.航法装置 12.海洋関連
13.推進装置 14.その他(金属燃料等) 15.機微品目

 

許可に際しては、それぞれの品目で規制されたもののスペック(輸出貿易管理令及び外国為替令に基づき貨物又は技術を定める省令で規定)が明示されたパラメーターシートがあるので、それに従ってまずは該非判定を行います。

例えば電子計算機でいえば、規制された計算能力を超えるものは輸出ができません。
規制ではデジタル電子計算機であって、加重最高性能が29実効テラ演算を超えるものとなっておりますが、市販されているPCでこれを超えるものはないので心配はありません。

ただし、内蔵されている無線LAN装置は暗号装置を内蔵しているため対称アルゴリズムの鍵の長さが56ビットを超えるものと規定している通信機の規制にかかる場合がありますが、通常搭載のチップは暗号鍵の長さが可変できるものではないので、この規制の適用除外になり、輸出許可は不要となっております。

②キャッチオール規制

リスト規制から外れる取引であっても、需要者・用途に着目して輸出等を制限する補完的規制です。輸出貿易管理令第4条に貨物、外国為替令第9条に技術の規定があります

リスト規制品以外のものを取り扱う場合であっても、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵もしくは通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある可能性があるもの、又は経済産業大臣から、許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けたものは輸出に際して経済産業大臣の許可が必要となります。

これは国際的取り決めに参加していない国に対して輸出するもののうち、食料や木材等を除く全ての貨物、技術が対象となります。

③積替規制

仮に陸揚げした貨物の輸出を制限する規制です。

外国からの製品を日本の港や保税地域で一時的に輸入したのち再度輸出しようとするときは許可が必要です。
リスト対象製品はすべての国、キャッチオール規制は国際取引レジーム参加国以外に輸出する場合に経済産業大臣の許可が必要になります。

④仲介貿易取引規制

日本からの輸出でなくても、日本の居住者が、生産国と使用国の間を仲介し、製品等を直送する形の取引の当事者となることを制限するための規制です。

積替規制と同様に、日本を介さない他国間貿易において、日本の国内に一度も貨物が経由しない場合でも、リスト規制対象製品及びキャッチオール規制対象国に第三国から製品を購入し他国に販売しようとするときは許可が必要になる場合があります。
輸出令別表第1の1の項に該当する貨物(武器、産業用の火薬、爆薬等)はすべての国、その他のリスト規制対象貨物及びキャッチオール規制該当貨物は国際取引レジーム参加国以外に輸出する場合に経済産業大臣の許可が必要になります。

3.まとめ

製品の輸出等及び仲介貿易については、安全保障の観点は非常に重要なものですが、そのほかにも環境保護、公衆衛生保護、知的所有権保護の観点からも輸出品目と輸出国に注意することが必要です。

少量の輸出や一見武器等に転用されないと思われる貨物であっても、規制を知らずに輸出すると、輸出禁止の行政制裁や高額の罰金を科せられる可能性があります。
初めて輸出をする場合や、輸出をしたことのない製品を発送する場合には、まず輸出規制を専門とする弁護士や行政書士に相談されることをお勧めします。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

ベリーベスト 法律事務所弁護士編集部
ベリーべスト法律事務所に所属し、企業法務分野に注力している弁護士です。ベリーベスト法律事務所は、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、中国弁護士(律師)、それぞれの専門分野を活かし、クオリティーの高いリーガルサービスの提供を全国に提供している専門家の集団。中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも特徴のひとつ。依頼者様の抱える問題に応じて編成した専門家チームが、「お客様の最高のパートナーでありたい。」という理念を胸に、所員一丸となってひたむきにお客様の問題解決に取り組んでいる。
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