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レバレッジを効かす - LBO、SPC、NRL、LBOローン、ターム・ローン、コミットメント・ラインとは?
1.はじめに
LBOはLeveraged Buyout(レバレッジド・バイアウト)、SPCはSpecial Purpose Company(特別目的会社)、NRLはNon-Recourse Loan(ノンリコース・ローン)のことであるくらいは知っているよ、という方も、具体的にどのように使われるのか、使うのか、熟知している方はそれ程多くはないのではないでしょうか。
LBOローンがNon-Recourse Loan(ノンリコース・ローン)だということは知っている方も、その他の条項についてはどうでしょうか。
後に触れるように、LBOローンの内容を正確に知らないで買収を承認すると大変なことになります。
また、Leverageという用語は金融、不動産、投資などの業界では常識的に使われていますが、それ以外の業界の方だと、今一つ、ピンと来ないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最後まで読んで頂ければ、LBOファイナンスがシンプルなスキームだということを理解して頂けますし、LBOローン契約の複雑な内容も理解して頂けると思います。
2.レバレッジとは。
そもそも、レバレッジとは何でしょう。
レバー(Lever)とは、日本語にもなっているように、てこ(梃)や、てこの作用を利用した取っ手のことです。
操縦桿などもControl leverとかControl stickといいます。
小さな操縦桿を少し動かすだけで、巨大なジェット旅客機を動かし操縦できます。
そして、レバレッジ(Leverage)とは、このてこ(Lever)の作用を利用することです。
てこの作用とは、小さな力で大きな物を動かす作用です。ファイナンスでいうと、Leverageとは、小さな自己資金で大きな資金を動かす作用を言います。
そして、Leverageという単語自体、「借入金で投資する」、という意味があり、金融用語でもあります。
3.レバレッジはどんな取引で使われているのか。
株の売買やFXをやっていない方も、株式取引の証拠金取引や外国為替証拠金取引などのレバレッジ取引で、保証金の何倍も、何十倍もレバレッジを効かせて大きな金額の取引ができることはご存じと思います。
また、ビットコインなどの仮想通貨取引でもレバレッジ取引が行われています。
不動産取引では購入する不動産を担保にして、そして、不動産建設では建設する不動産や収益を担保にしてレバレッジを効かせた取引は珍しくありません。
建設業者に自宅を建ててもらうと、自宅に抵当権を設定しますね。
不動産の外、航空機や船舶などその運行によって安定した収益(CF、キャッシュ・フロー)が期待できる動産の購入の際に利用されることもあります。
私の事務所からほど近い六本木ヒルズの開発などもレバレッジ・ファイナンスを利用しました。
また、恐らく、今、私のデスクの眼下で建設が進められている虎ノ門・麻布台の再開発もこのファイナンス手法を使っているのではないかと思います。
他の大型開発や再開発もレバレッジを効かせたファイナンス手法を使っています。
建設予定のビル群とそこからの収益を担保として複数の金融機関から貸付け(シンジケート・ローン)を受け、それらのビルからの収益(将来CF、キャッシュ・フロー)や売却益以外からは債権回収はしないというノンリコース(Non-Recourse)の融資で大型開発や再開発の資金を調達しています。
また、特別のプロジェクトを対象として融資するプロジェクト・ファイナンスでも当然使われますし、合併、株式譲渡や事業譲渡などのM&Aや投資案件でも、レバレッジを効かせたファイナンス・スキームが使われることがあります。
スキームの手順については後程説明します。
このようにレバレッジを利用した取引やファイナンスは、私達の身の回りで頻繁に使われています。
4.なぜレバレッジが必要となるのか。
通常のローン(Recourse Loan、リコース・ローン)は、借り手の信用に基づいて融資を行い、返済の原資として借り手の全財産が返済責任の対象となります。
よって、銀行は基本的に借り手の資産や返済能力がないと貸しません。
従って、自己の資産や返済能力、融資枠などを超えて金融機関から借入をするためには、買収対象企業や投資先企業の資産や収益(将来CF、将来キャッシュフロー)を担保に借り入れするレバレッジを効かせた融資を受ける外に手段はありません。
逆に言うと、自社の企業規模や資金を超える企業の買収や大型投資によって将来の収益が望める場合にはレバレッジを効かせた借入の必要がある訳です。
5.バイアウト(Buyout、買収)
LBO(Leveraged Buyout、レバレッジド・バイアウト)のレバレッジについては、上記2.で説明しました。
では、LBO、buyoutとは、どのような意味でしょうか。
皆さんは、MBOとかMBIという用語でbuyoutやbuyinという単語には馴染みがあることと思います。
MBO(Management Buyout)とは、企業の現経営陣が経営権を確保するため、その企業の株式や事業を買収することです。
一方、MBI(Management Buyin)とは、企業の再建のために外部から経営の専門家をいれるために、その企業を買収することです。
このようにMBOは現経営陣が自社を買収して一旦出て行くのに対し、MBIは外部から経営陣が入ってくるという違いがあるのですが、MBIは概念上、MBOの一種として分類され、結局、LBO(buyout)とは買収というほどの意味で理解して頂いて結構です。
なお、現経営陣と外部の経営専門家達とが共同で企業を買収することをBIMBO(Buy-In Management Buyout)と言います。
MBO等においては、通常、経営陣は買収資金が不足するため、以下で説明するLBOのスキームを使うことが多く、更にファンドとパートナーを組んで資金調達します。
6.LBO(Leveraged Buyout)のスキーム
(1)投資ファンド
LBOは、元々はプライベート・エクイティ・ファンド(Private Equity Fund、未公開株ファンド)などが自己の保有する資産の外に、投資先の資産や将来キャッシュフローなどを担保に金融機関から資金を調達し、投資した企業の資産売却益や事業改善後のキャッシュフローで借入金を返済していく投資手法であり、これを金融機関から見ると、レバレッジド・ファイナンスというファイナンス手法になります。
最終的にIPO(Initial Public Offering、株式公開)や第三者への株式売却という出口戦略を目指します。
プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)は未上場会社に投資して利益を投資家に還元するファンドであり、一方、バイアウト・ファンド、企業再生ファンドなどは上場企業や成熟企業への投資事業を行うファンドですが、慣例的に、ベンチャー・キャピタル・ファンド、バイアウト・ファンド、企業再生ファンドなどを広くプライベート・エクイティ・ファンド(Private Equity Fund)と呼びます。
ファンドはこのようにLBOローンの借り手になると共に、古くからLBOローンの貸し手にもなってきました。
投資ファンドは複数の投資家から集めた資金を事業などに投資して収益を上げ投資家に還元することが目的であり、事業会社のような開発、製造、販売、輸送・流通、サービス提供などの社会の経済活動(実体経済)を行わず、事業会社とは基本的に最終的な投資目的・買収目的が異なりますが、企業の資金調達の道を開くだけでなく、利ざやを稼ぐため投資先企業を再建したり、企業価値の向上を図ったりするなど、グローバルな金融システムの中だけでなく経済全体における存在価値を高めています。
具体的なLBOのスキーム(ストラクチャー)は、以下の事業会社による企業買収の場合と共通しますので、そこで見て行くことにしましょう。
(2)事業会社による企業買収事案
ライブドアの日本放送やフジテレビとの買収合戦、ソフトバンクによるボーダフォンの買収、ノジマによるITXの買収など、LBOファイナンスは、事業会社のM&Aでも使われてきています。
では、事業会社A社が自社は債務を負わずに多額の借入をしてB社を買収する場合を想定して、手順を以下に説明します。見て頂ければ、とてもシンプルなスキーム(ストラクチャー)であることが分かります。
- A社は、SPC(Special Purpose Company、特別目的会社)を設立する。
(受け皿会社と呼ばれます。通常、株式会社ではなく、合同会社を設立します。)[i] - SPCは、銀行、ファンドなどから借入を受ける。
- SPCは、1)の出資金と2)の借入金で、ターゲット企業B社を買収する。
- SPCは、買収したターゲット企業B社を吸収合併する。
これでSPCが負担した債務は、買収されたB社が負担することになる訳です。
重要なポイントは、B社を買収したA社は、SPCを設立する際に出資しますが、そのSPCを利用することによって、自分よりも大きな企業の買収を可能とすると共に、SPCが銀行やファンドから借り入れた債務について返済義務を負わない点です。
しかし、誤解してはいけないのは、B社はA社のグループ子会社となりますから、A社は全くの第三者に借入債務を負担させるものではない点です。
そして、このように実質的な借り手であり、企業の買収者であるA社に返済義務が発生しないローンをNRL(Non-Recourse Loan、ノンリコース・ローン)と言います。
債権者は実質的な借主に対してRecourse(請求)しないローンです。
LBOファイナンスはこのようにスキームとしてはシンプルですが、通常のローン(Recourse Loan)と異なり、銀行やファンド等の金融機関は単に借り手の資産を評価するのではなく、買収対象企業の将来CF(将来キャッシュフロー)や企業価値、成長性、収益性を厳しく分析しなければなりません。
従って、(実質的)借り手側からすると、借入の審査は厳しくなり、借入条件も厳しくなって、自社の資産や信用で借入を行う場合に比較して借入コストは高くなります。
これを買収対象企業に負担させることになります。
また、貸付けた金融機関からすると、買収対象企業の将来CFなどが債権回収の担保となりますから、ローン契約(LBOローン)の中に買収対象企業の経営に関与するまたは制約を負わせる条項を盛り込みます。
これらの事情から、買収対象企業の経営陣は借入コストの負担や経営の自由度を制約されることを嫌い、買収交渉が難航する原因となり得ます。
そこで、この点が交渉で重要となる訳ですが、買収対象会社の経営陣に、今回の買収が買収対象企業にとってもプラスであることを、資料を作成して説明し説得して行く必要があります。
経営陣は通常一枚岩ではないので、一人一人切り崩して行きます。
7.LBOローン
上記のように、NRL(Non-Recourse Loan、ノンリコース・ローン)の貸付条件は、通常のローン(Recourse Loan)よりも厳しくなります。
それでは、以下、具体的に見ていきましょう。
(1)種類・期間(ターム)
LBOローン契約は、貸付資金の充当目的によって、「ターム・ローン」と「コミットメント・ライン」(別名、リボルバー)の二つに大きく分かれます。
① ターム・ローン
まず、貸付資金を買収資金に充当する長期ローン(Long-term Loan)です。
ターム・ローンと呼ばれます。通常、5年か、それより少し長い貸付期間です。
このターム・ローンは、a)毎期、約定した金額の弁済をする「ターム・ローンA」と、b)返済期限に一括返済する「ターム・ローンB」とに分かれます。これら「ターム・ローンA」と「ターム・ローンB」との支払総額は大体同じに設定します。
「ターム・ローンA」(Term Loan A)は、貸付金融機関が借り手に要請して提出させたデュー・デリジェンスの結果(買収対象企業の過去の業績や将来の事業計画などの精査に基づくデュー・デリジェンス報告書)を考慮し想定した将来CF(キャッシュ・フロー)に基づいて弁済可能金額を割出して弁済金額を設定します。
「ターム・ローンB」(Term Loan B)は、期限に一括弁済するローンですが、必ずしもその期限に全額弁済ができる保証はないので、通常、弁済できない部分については期限到来時にリファイナンス(refinance)することができる旨の条項を入れます。
② コミットメント・ライン(リボルバー)
ターム・ローンは長期ローンですが、買収対象企業が買収完了後に収益と支出のタイミングのズレなどから運転資金が不足するときのため短期ローンを受ける必要が発生する可能性があるため、買収後の運転資金補充のため一時的な借入のための枠を銀行等に約束(コミットメント)してもらう短期のローン条項をLBOローン契約の中に入れます。
これをコミットメント・ライン(Line of Credit、コミットメント枠、融資枠)またはリボルバー(Revolver、運転資金)と呼びます。
(2)費用
① ローン実行前
ローン実行前のコストとしては、貸付金融機関から提出を要請される事業、財務、税務、法務等のデュー・デリジェンスやローン契約の作成、交渉などについての弁護士や公認会計士等の専門家の報酬、および、融資手数料(アップ・フロント・フィー)が当然掛かります。
デュー・デリジェンスも貸付金融機関が要求するレベルは通常よりも高く、精査する必要がありますし、また、ローン契約書の交渉と言っても、膨大な頁数のローン契約の修正交渉ですから、双方の複数の弁護士がかなりの時間を掛けることになる上に、貸付金融機関側の弁護士費用も借り手企業が負担するのが通常です。
従って、借り手としては、自分が使う弁護士等の報酬をタイムチャージにするのか、タイムチャージにするとして、どのように無制限に報酬が膨らまないようにするのか、他の報酬形態と組み合わせるのか、および、貸付金融機関側の弁護士費用について、負担するのか、負担するとしてどのようにキャップ(cap)を被せる交渉をするかが重要です。
② ローン実行後
買収する企業(実際には買収されその子会社となった企業)がローン実行後に負担するコストとしては、借入利息とコミットメント・フィーがあります。
i) 借入利息
まず、借入利息ですが、LBOファイナンスは、買収リスク(買収された企業の事業の成長についてのリスク)を部分的に金融機関にも負わせるスキームですから、通常のコーポレート・ファイナンス(コーポレート・ローン)よりも借入利息は高くなります。
通常、TIBOR & Spread(タイボー(Tokyo Interbank Offered Rate、東京銀行間取引金利)+スプレッド(上乗せ))の変動金利で設定します。
TIBORは、短期金融市場での銀行間取引市場の実勢を反映した指標金利です。
スプレッド(上乗せ)は、Pricing Grid(価格グリッド、企業の信用度)で決定します。(なお、皆さんお馴染みのリボ(LIBOR、London Inter-Bank Offered Rate、ロンドン銀行間取引金利)は、2021年末で廃止されます。)[ii]
銀行の融資は通常、変動金利です。
なぜ変動金利になるかというと、銀行が日本銀行(以下、日銀)から調達する政策金利が変動するからです。
日銀は不景気になると市中銀行が企業に融資し易くするため政策金利を引き下げます。
逆に、景気が改善すれば金利を引き上げます。銀行としては固定金利では逆ザヤのリスクがあるので、変動金利にせざるを得ないのです。
銀行の金利には、上記のような「スプレッド貸し」と「短期プライムレート」があります。
「スプレッド貸し」では、スプレッド(上乗せ)が銀行の利益です。これは貸付先の企業の信用度で決定します。
短期プライムレートとは、各銀行が企業に1年以内の融資をするときの最優遇金利です。銀行ごとに異なります。
短期プライムレートは、預金による調達金利 & 利ざや(スプレッド)で設定します。
各企業に融資する際の金利は、短期プライムレート & 貸し倒れリスクです。
貸し倒れリスクとは当該企業の信用力で、信用力があり貸し倒れリスクが低ければ、上乗せ金利は小さくなります。当該企業の格付けの変動によって金利が変動します。
ii) コミットメント・フィー
つぎに、コミットメント・フィーは、金融機関が一定金額(コミットメント・ライン)まで貸し付けることを約束(コミット)することについての費用(フィー)です。
コミットメント・ラインのうちで貸付実行額を控除した未使用枠に対し一定の料率を乗じて算出します。
(3)保証
通常、買収対象企業のすべての子会社が連帯保証をします。
一方、買収する企業は債務を負わないだけでなく、保証義務も負わないのが普通です(NRL、Non-Recourse Loan、ノンリコース・ローン)。
但し、買収する企業が保有することとなる買収対象企業の株式には、担保権が設定されます。
つまり、買収する企業にとっての投資リスクは、SPC(Special Purpose Company、特別目的会社)を設立するために自己資金により拠出した金額に限定されることになります。
(4)特約条項
LBOローンでは、アファーマティブ・コベナンツ(Affirmative Covenants[iii])、ネガティブ・コベナンツ(Negative Covenants)およびファイナンシャル・コベナンツ(Financial Covenants)などの特約条項を入れます(アファーマティブ・コベナンツはto-do List、ネガティブ・コベナンツは not-to-do Listのようなものです)。
というのは、LBOローンは、買収対象会社の買収後のキャッシュ・フロー(CF)や資産のみが返済原資となりますので、買収対象会社の経営を管理する必要があるからです[iv]。
また、これらの条項が守られていることをモニタリングするため、文書やデータの提出や報告を義務付けたり、監査権を規定したりします。
それぞれの特約の種類ごとに項目を挙げると、以下のとおりです。
① アファーマティブ・コベナンツ(Affirmative Covenants)
財務諸表、資金繰り、業績報告書および資料の提出、監査済み決算書の提出、重要事項の報告、必要な許認可維持、保険の付保など。
② ネガティブ・コベナンツ(Negative Covenants)
普通株主への配当禁止、設備投資の限定、投融資額の限定、定款変更の禁止、リストラクチャリングや資産売却の制限、各部門のキーマンの保持、チェンジ・オブ・コントロールの禁止、追加借入の制限・禁止、担保権設定禁止など。
③ ファイナンシャル・コベナンツ(Financial Covenants)
信用力(レバレッジ・レイシオ(有利子負債÷EBITDA[v]))の目標達成、デッド・サービス・カバレッジ・レイシオ(DSCR[vi])の維持、黒字維持、純資産維持など。
(5)事業開始後のLBOローンのリファイナンス
「ターム・ローンB」(Term Loan B)につき説明したリファイナンス(refinance)と異なり、LBOローン締結後、事業が順調に推移した場合、LBOローンによる借入条件を改善するため、アレンジャーの銀行と交渉し、シンジケート・ローン契約を締結し、支払利息の減少による資金調達コストの低減や制約事項の解除による設備投資戦略の実行などによる収益の改善や事業拡大を図るという道を辿ることもあります。
8.まとめ
レバレッジを効かすことにより、小さな資本で大きな取引が可能になります。
規模の大きな企業を買収することによって大きなシナジー効果が期待できる場合には、LBOローンは選択肢の一つとして検討に値します。
他方、レバレッジを効かした取引によって買収される企業にとっては、LBOローンの仕組みや条項を知らずに安易に買収に同意すると、事業経営につき予期せぬ様々な足かせをはめられることになります。
また、事業会社がLBOファイナンスを利用して他社を買収しようとする場合、買収対象企業との交渉の外に、ファイナンスをする銀行やファンドなどの金融機関とのローン契約の交渉が必要となります。
そして、金融機関により厳格な買収対象企業の事業、財務、税務、法務、人事、その他のデュー・デリジェンスの実行義務を負わされます。
通常のM&Aでもビジネスのために買収するのですから事業デュー・デリジェンスが最も重要ですが、LBOファイナンスを利用する場合には特に事業デュー・デリジェンスが重要になります。
とは言え、その他のデュー・デリジェンスもビジネスに大きな影響がある場合があるので、経験や調査能力があり精度の高いデュー・デリジェンスができ、コミュニケーション能力のある会計事務所、税理士事務所、法律事務所の選択が重要となります。それと共に、これら事務所のフィー・コントロールも重要となります。
LBOファイナンスは金融機関や各種専門家が関与します。
彼らに任せっ切りにせず、まず仕組みやメリット、デメリットを理解することが大切です。
[i] 合同会社の組織を選択するのは、設立、運営、意思決定が簡易で利用し易いからです。
[ii] 英中央銀行(Bank of England)は、LIBORに代わるボンド建て銀行間翌日物金利(SONIA)の改革を、欧州中央銀行(ECB)はユーロ建ての銀行間取引金利(EURIBOR)の見直しを、米連邦準備銀行(FRB)はドルLIBORに代わる指標を、それぞれ検討しています。
[iii]日本の金融業界では、Covenant(kʌ’vənənt. カァヴァナァントゥ)をコベナンツと言うことがあるので、注意が必要です。
[iv] 事業再生を目的としたDIPファイナンス(Debtor in Possession Finance)でも、経営のモニタリングの必要があり、類似のコベナンツ条項を設定します。
[v] EBITDA:Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization. 税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えて算出される利益。
[vi] DSCR=FCF÷(元本弁済額+金利) FCF:Free Cash Flow. 企業活動の継続に必要な資本(運転資本や設備投資)を再投資した後の余剰資金。株主に配分できるキャッシュ。企業活動から自由な資金という意味でフリーという。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています