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これだけは知っておきたい!特別支配株主の株式等売渡請求によるスクイーズ・アウトを行う場合の具体的な手続と注意点。

2020年1月28日
これだけは知っておきたい!特別支配株主の株式等売渡請求によるスクイーズ・アウトを行う場合の具体的な手続と注意点。

この記事を読むと、以下のことが分かるようになります。

  • なぜ特別支配株主の株式等売渡請求を行うのか
  • 特別支配株主の株式等売渡請求とは何か
  • 特別支配株主の株式等売渡請求の具体的な手続はどのようなものか
  • 特別支配株主の株式等売渡請求を行う際のリスクはあるか

 

早速ですが、スクイーズ・アウト(Squeeze Out)という言葉をご存知でしょうか。
スクイーズ・アウトとは、ある会社の支配株主が会社の少数株主の有する株式の全部をその少数株主の個別の承諾を得ることなく金銭その他の財産を対価として取得することをいいます。
つまり、多数派株主が少数株主の株式を強制的に買い取ってしまうことです。

 

では、なぜ会社はスクイーズ・アウトを行うのでしょうか?

そもそも、株式会社では1株1議決権の原則による多数決原理によって物事が決まっています。
そのため、多数派の株主が少数株主の利益を犠牲にして自己に有利な運営をすることが起こり得ます。
そこで、会社法は少数株主を保護するため少数株主にも次のとおり、いくつかの権利を認めています。

 

【少数株主に認めている権利の例】

議決権数又は持分比率 権利の内容
単独 定款、株主名簿、計算書類、取締役会議事録、株主総会議事録の各閲覧謄写請求権[1]
単独 取締役の違法行為差止請求権[2]
単独 株主代表訴訟の提起権[3]
1%又は300個の議決権 株主総会議題・議案提出権[4]
3% 会計帳簿閲覧謄写請求権[5]
3% 取締役・監査役の解任請求権[6]

 

さて、これらの権利は少数株主にとっては当然望ましいものですが、多数派の株主にとってみるといちいち少数株主が権利を行使すると迅速な意思決定が阻害されてしまいます。
また、少数株主が権利を行使することを恐れるあまり経営陣が少数株主の反対にあわない決定ばかりしてしまい長期的視点に立った経営を行うことができなくなってしまう恐れもあります。

 

そこで、多数派株主は、少数株主から株を買い取ってしまいたいと考えるわけです。
ここで少数株主が任意の買取りに応じてくれるのであれば話は早いのですが、そのような株主ばかりではありません。
そのため、多数派株主としては、少数株主の株式を強制的に買い取ってしまう他なく、スクイーズ・アウトを実行することになります。

 

では、具体的にスクイーズ・アウトにはどのような方法があるのでしょうか。

主には、①特別支配株主による株式等売渡請求[7](会社法(以下「法」といいます。)第179条)と②株式併合(法第180条)の方法があります。

本記事では、このうち①特別支配株主による株式等売渡請求について説明していきます。
なお、②株式併合については以下の記事をご参照ください。

閉鎖会社で株式併合によるスクイーズアウト(少数株主の締め出し)をするときのポイント

 

なお、本記事では、株式譲渡によって新たな株主が株式を取得する場合に株式発行会社の承認を要することについて定款に定めのある会社[8]のみを想定しています。

1.特別支配株主の株式等売渡請求とは?

特別支配株主の株式等売渡請求とは、株式売渡請求に係る株式を発行している株式会社(以下「対象会社」という。)の総株主の議決権の90%以上を有する特別支配株主が対象会社の他の株主(当該対象会社を除く。)の全員に対して、その有する当該対象会社の株式等の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求できる制度をいいます(法第179条)。

2.制度の導入経緯

特別支配株主の株式等売渡請求は、平成26年(2014年)の会社法改正により導入された比較的新しい制度です。
改正前については、スクイーズ・アウトを行うためには全部取得条項付種類株式(法第108条第1項第7号)を活用する方法[9]が実務上一般に行われてきました。
しかし、この方法では①株主総会決議が必須になってしまう②複雑な手続が必要になり時間的・手続的コストが大きいことから迅速にスクイーズ・アウトを実行できないという問題点がありました。

そこで、機動的なスクイーズ・アウトを可能とするため特別支配株主の株式等売渡請求の制度が創設されたのです。
この制度では、株主総会が不要であり株式併合や全部取得条項付種類株式の活用の場合に生じ得る端数処理の手続も要しないため手続に要する時間はかなり短縮できるようになりました。

3.特別支配株主の株式等売渡請求を利用するための要件

請求する者が「特別支配株主」であることが必要になります。
ここで、「特別支配株主」とは、総株主の議決権の90パーセント(定款でこれを上回る割合を定めたときはその割合)以上を自己が直接に又は特別支配株主完全子法人[10]を通じて有する株主のことをいいます。

ここで注意すべきは、特別支配株主は1人又は1社である必要があるという点です。
つまり、特別支配完全子法人の場合を除いては複数の会社又は自然人が合意等に基づいて90パーセント以上の議決権を有していたとしても「特別支配株主」には該当しません。
その場合には1人又は1社に株式を集約することが必要になります。

4.対象となる株式

特別支配株主は株式等売渡請求を行う場合には次の①から③を除く対象会社の全部の株式を対象にする必要があります。

①対象会社の自己株式
②特別支配株主の保有する株式
③特別支配株主完全子法人の保有する株式

5.特別支配株主の株式等売渡請求の手続

それでは、具体的な手続を見ていきましょう。
まず、手続の流れは次のようになります。

【手続の概要】

①特別支配株主の対象会社への通知

②対象会社の株式等売渡請求を承認するか否かの決定

③対象会社から特別支配株主への通知

↓ ※②で承認された場合

④対象会社から売渡株主等への通知・公告  ※下記⑥取得日の20日前までに

⑤事前備置の開始  ※上記④通知又は公告の日のいずれか早い日から

⑥売渡株式等の取得(取得日)

⑦事後備置の開始  ※上記⑥取得日後遅滞なく

⑧対価の支払

 

次に、各手続の内容について細かく見ていきましょう。

(1)特別支配株主の対象会社への通知(法第179条の3第1項、同条の2第1項各号)

特別支配株主が株式等売渡請求を行う場合、以下の事項を対象会社に通知する必要があります。

 

【特別支配株主が対象会社に対し通知すべき事項】

1 株式等売渡請求をしようとする旨
2 特別支配株主完全子法人に対して株式等売渡請求をしないこととするときは、その旨及び特別支配株主完全子法人の名称
3 売渡株主[11]に対し、売渡株式の対価として交付する金銭の額又はその算定方法
4 売渡株主に対する上記3の金銭の割当てに関する事項
5 株式売渡請求にあわせて新株予約権売渡請求をするときは、その旨及び次の事項(1)特別支配株主完全子法人に対して新株予約権売渡請求をしないこととするときは、その旨及び特別支配株主完全子法人の名称
(2)売渡新株予約権者に対し、売渡新株予約権の対価として交付する金銭の額又はその算定方法
(3)売渡新株予約権者に対する上記(2)の金銭の割当てに関する事項6 特別支配株主が売渡株式等を取得する日(取得日)
7 会社法施行規則第33条の5で定める事項(1)株式売渡対価及び新株予約権売渡対価の支払いのための資金を確保する方法
(2)株式等売渡請求に係る取引条件を定めるときは、その取引条件

 

(2)対象会社の株式等売渡請求を承認するか否かの決定(法第179条の3第1項、第3項)

特別支配株主は、当該株式等売渡請求について対象会社の承認を得る必要があります。
この承認は対象会社が取締役会設置会社であるときは取締役会の決議、取締役会設置会社ではないときは取締役の過半数をもっての決定が必要とされています。

(3)対象会社から特別支配株主への通知(法第179条の3第4項)

株式等売渡請求の通知を受けた対象会社が株式等売渡請求を承認するか否かの決定をしたときは、特別支配株主に対し決定の内容を通知することが必要になります。

(4)対象会社から売渡株主等への通知・公告(法第179条の4第1項、第2項)

対象会社は株式等売渡請求を承認した場合、取得日の20日前までに売渡株主及び売渡新株予約権者[12](以下両者を併せて「売渡株主等」といいます。)並びに売渡株式等の登録質権者へ通知を行う必要があります。この通知は、売渡株主に対するものを除いて(売渡株式等の登録質権者及び売渡新株予約権者がこれに当たります。)公告をもってこれに代えることができるとされています。

なお、売渡株主等に対する通知書に記載すべき事項は次のとおりとされています[13]

 

【対象会社が売渡株主等に対し通知すべき事項】

1 特別支配株主の売渡請求を承認した旨
2 特別支配株主の氏名又は名称及び住所
3 特別支配株主完全子法人に対して株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び特別支配株主完全子法人の名称
4 売渡株主に対し、売渡株式の対価として交付する金銭の額又はその算定方法
5 売渡株主に対する金銭の割当てに関する事項
6 株式売渡請求にあわせて新株予約権売渡請求をするときは、その旨及び次の事項(1)特別支配株主完全子法人に対して新株予約権売渡請求をしないこととするときは、その旨及び特別支配株主完全子法人の名称
(2)売渡新株予約権者に対し、売渡新株予約権の対価として交付する金銭の額又はその算定方法
(3)売渡新株予約権者に対する上記の金銭の割当てに関する事項7 特別支配株主が売渡株式等を取得する日(取得日)
8 株式等売渡請求に係る取引条件を定めるときは、その取引条件

(5)事前備置の開始(法第179条の5第1項)

対象会社は、売渡株主等に対する通知又は公告の日のいずれか早い日から取得日後1年を経過するまでの間、次の事項を記載・記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置くことが必要になります。

【事前備置書面に記載が必要な事項】

1 特別支配株主の氏名又は名称及び住所
2 法第179条の2第1項各号に掲げる事項(1)特別支配株主完全子法人に対して株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び特別支配株主完全子法人の名称
(2)売渡株主に対し、売渡株式の対価として交付する金銭の額又はその算定方法
(3)売渡株主に対する金銭の割当てに関する事項
(4)株式売渡請求にあわせて新株予約権売渡請求をするときは、その旨及び次の事項ア 特別支配株主完全子法人に対して新株予約権売渡請求をしないこととするときは、その旨及び特別支配株主完全子法人の名称
イ 売渡新株予約権者に対し、売渡新株予約権の対価として交付する金銭の額又はその算定方法
ウ 売渡新株予約権者に対する上記イの金銭の割当てに関する事項(5)特別支配株主が売渡株式等を取得する日
(6)会社法施行規則第33条の5で定める事項ア 株式売渡対価及び新株予約権売渡対価の支払いのための資金を確保する方法
イ 上記(1)乃至(5)に掲げる事項のほか、株式等売渡請求に係る取引条件を定めるときは、その取引条件3 対象会社が株式等売渡請求の承認をした旨
4 会社法施行規則第33条の7で定める事項

(1)次に掲げる事項その他の上記2(2)及び(3)(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、さらに上記2(4)イ及びウ)に掲げる事項についての定めの相当性に関する事項

ア 株式売渡対価の総額(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、株式売渡対価の総額及び新株予約権売渡対価の総額)の相当性に関する事項
イ 対象会社による株式等売渡請求の承認に当たり売渡株式等の利益を害さないように留意した事項

(2)上記2(6)アに掲げる事項についての定めの相当性その他の株式売渡対価(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、株式売渡対価及び新株予約権売渡対価)の交付の見込みに関する事項(当該見込みに関する対象会社の取締役の判断及びその理由を含む。)
(3)上記2(6)イに掲げる事項についての定めがあるときは、当該定めの相当性に関する事項(当該相当性に関する対象会社の取締役の判断及びその理由を含む。)
(4)対象会社についての次に掲げる事項

ア 対象会社において最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては、対象会社の成立の日)後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容
イ 対象会社において最終事業年度がないときは、対象会社の成立の日における貸借対照表

(5)備置開始日後特別支配株主が売渡株式等の全部を取得する日までの間に、上記(1)乃至(4)に掲げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項

(6)売渡株式等の取得

特別支配株主は、取得日に売渡株主等から株式を取得することになります。

(7)事後備置の開始(法第179条の10第1項、第2項)

対象会社は、取得日後遅滞なく取得日から1年間、次の事項を記載・記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置くことが必要になります。

 

【事後備置書面に記載が必要な事項(会社法施行規則第33条の8で定める事項)】

1 特別支配株主が売渡株式等の全部を取得した日
2 差止請求(法第179条の7第1項又は第2項の規定による請求)[14]に係る手続の経過
3 売買価格の決定の申立て[15](法第179条の8の規定による)の手続の経過
4 株式売渡請求により特別支配株主が取得した売渡株式の数(対象会社が種類株式発行会社であるときは、売渡株式の種類及び種類ごとの数)
5 新株予約権売渡請求により特別支配株主が取得した売渡新株予約権の数
6 上記5の売渡新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、当該新株予約権付き社債についての各社債(特別支配株主が新株予約権売渡請求により取得したものに限る。)の金額の合計額
7 上記1から6に掲げるもののほか、株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に関する重要な事項

(8)対価の支払

特別支配株主が売渡株主等に対し対価を支払います。

6.売渡株主等ができる請求

以上見てきました手続によって、特別支配株主は少数株主から強制的に株式を買い取ることができます。
それでは、強制的に株式を買い取られてしまう売渡株主等から何か請求をされるおそれはないでしょうか。
具体的には次のような請求をされてしまう可能性があります。

(1)差止請求(法第179条の7)

売渡株主等は、次のいずれかの事由が存在し、かつ、売渡株主等が不利益を受けるおそれがあるときには、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめること、すなわち差止請求を行うことができます。

①株式等売渡請求が法令に違反する場合
②対象会社が、売渡株主等に対する通知の規定[16]に違反した場合、又は事前開示制度[17]に違反した場合
③株式等売渡請求の対価として交付する金銭の額(もしくはその算定方法)又は金銭の割当てに関する事項が対象会社の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当である場合

(2)売買価格の決定の申立て(法第179条の8)

売渡株主等は、株式等売渡請求があった場合、取得日の20日前の日から取得日の前日までの間に、裁判所に対し、その有する売渡株式等の売買価格の決定の申立てを行うことができます。

一方、特別支配株主は、売渡株式等の売買価格の決定があるまでは、売渡株主等に対し、特別支配株主が公正な売買価格と認める額を支払うことができるとされています。

(3)無効の訴え(法第846条の2)

取得日に売渡株主等であった者[18]は、特別支配株主に対して、株式等売渡請求による売渡株式等の全部の取得について、取得日から1年以内に訴えをもってその無効を主張できます。

(4)取締役に対する損害賠償請求(法第429条第1項)

対象会社の取締役が株式等売渡請求の承認に際して売渡株主等の利益への配慮を怠った場合などには、売渡株主等は、取締役に対し、その職務を行うに際して悪意・重過失があったとして損害賠償請求することができる可能性があります。

7.特別支配株主の株式等売渡請求を行う際のリスク

6で述べたとおり売渡株主等には様々な請求が認められています。
ここで、実際に売渡株主等から売買価格の決定の申立てがなされた実例を挙げると、ある非上場会社では姉弟間で経営方針をめぐり対立が生じていました。
そこで、その会社を姉一族の会社と弟一族の会社に会社分割し、各一族が他方の一族の株式を持ち合うことにしました。
ところが、完全に経営権を支配したいと考えた姉一族はスクイーズ・アウトを実行することにし特別支配株主の株式等売渡請求により弟一族の株式を強制的に買い取ってしまいました。
強制的に買い取られてしまった弟一族は当然納得せず株式売買価格決定の申立てを裁判所に対して行いましたが、2年以上経っても未だに争いは続いています。
非上場会社の株式には上場会社のように市場で明示されている株価がありませんし、株価は様々なアプローチにより算定され得ることから、その立場によって主張する株価には大きな差異があり、解決までには時間がかかるものなのです。
このように、特別支配株主の株式等売渡請求を行う場合には、後々紛争が激化し長い時間を要してしまうリスクがあることには注意が必要です。

8.まとめ

以上見てきましたように、特別支配株主は比較的簡単な手続により少数株主の株式を買い取ってしまうことができます。
しかし、強制的に買い取るということはそれだけ少数株主との間の対立が先鋭化し紛争が生じるリスクもあるということです。
実例でも紹介したとおり一度紛争が生じてしまうと紛争が長期化し金銭的にも精神的にも疲弊してしまいます。
そうはならないように、特別支配株主の株式等売渡請求を行う場合には先のことまでしっかりと見定める必要があり、スクイーズ・アウトや株価算定の経験がある弁護士、税理士、会計士等の専門家に事前に相談することが望ましいと言えます。

 

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[1] 会社法第31条第2項、第125条第2項第1号、第442条第3項、第371条第2項、318条第4項

[2] 会社法第360条

[3] 会社法第847条第3項

[4] 会社法第303条。但し、定款で「1%」や「300個」を下回る基準を定めることもできる。

[5] 会社法第433条。総株主の議決権の3%以上の議決権を有する株主又は発行済株式の3%以上の数の株式を有する株主に会計帳簿の閲覧謄写請求権が認められている。但し、定款で「3%」を下回る基準を定めることもできる。

[6] 会社法第854条。総株主(当該条文で定められた株主を除く)の議決権の3%以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主(当該条文で定められた株主を除く)に取締役・監査役の解任請求権が認められている。但し、「3%」や「6箇月」についてそれぞれ定款でこれらを下回る基準を定めることもできる。

[7] 株式売渡請求及び新株予約権売渡請求を併せて「株式等売渡請求」という(会社法第179条の3第1項)。

[8] 会社法第2条第17号及び第107条第1項第1号参照

[9] 全部取得条項付種類株式とは、株主総会の決議によってその全部を取得することを定めた株式(会社法第108条第1項第7号)であり、これを発行した会社は、株主総会の決議によって、全部取得条項付種類株式の全部を取得することができる(同法第171条第1項)。すでに発行されている普通株式をすべて全部取得条項付種類株式に変換した後、全部の取得を決議する。全部の株式が取得されるため、現金で買い取ることはせず、普通株式を対価としつつ、多数派株主にのみ普通株式が残るような比率を設定する。その結果、少数株主は普通株式を取得することなく、結果として、スクイーズ・アウトが実現される。

[10] 会社法第179条第1項、会社法施行規則第33条の4

[11] 株式売渡請求によりその有する対象会社の株式を売り渡す株主(会社法第179条の2第2号)

[12] 新株予約権売渡請求によりその有する対象会社の新株予約権を売り渡す新株予約権者(会社法第179条の2第1項第4号ロ)

[13] 会社法第179条の4第1項、同条の2第1項第1号乃至第5号、会社法施行規則第33条の6、同条の5第1項第2号

[14] 本記事6(1)参照

[15] 本記事6(2)参照

[16] 本記事5(4)参照。会社法第179条の4第1項第1号(売渡株主に対する通知に係る部分に限る。)

[17] 本記事5(5)参照。会社法第179条の5

[18] 取得日において対象会社の取締役(監査役設置会社にあっては取締役又は監査役、指名委員会等設置会社にあっては取締役又は執行役)であった者又は対象会社の取締役若しくは清算人もまた無効の訴えを主張できる(法第846条の2第2項)。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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