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Shall & Will

2020年4月10日
Shall & Will

1.  はじめに

私達が日常、話をしたり文章を書いたりする時には、shallとwillとは異なる意味で使っています。
極東司令官としてフィリピンに駐屯していたダグラス・マッカーサーが太平洋戦争勃発時に、日本軍の空爆により捕虜となるリスクを回避すべく、家族や側近と共にマニラ湾のコレヒドール要塞から魚雷艇で脱出する際の I shall return. という言葉は有名ですが、これが I will return. では拍子抜けですね。
彼の”必ず”という強い意志と無念さが伝わってきません。

 

では、契約書で shall や will を使う場合、その意味は違うのでしょうか、同じなのでしょうか。

2.  Shall と Will

日常生活で「… しなければならない」という場合、You should, must, have to, shall, need, etc. があります。
但し、契約書では圧倒的に shall が多く、次いで willで、それ以外は be required to, be obligated to, be obliged to, have an
obligation to, have a duty toなどがありますが、少数派であると思います。

 

従って、その条項の主語である契約当事者が shall 又は will に続く行為を行わなかった場合、契約違反
(breach of the contract)または債務不履行(default on …)となります。

 

例えば、Party A shall obtain the approval of the authority. の場合は、契約当事者Aは当局の許可を取得する義務を負います。
許可を取得できなければ義務を果たしたことになりません。

 

但し、Party A shall use/make its best/reasonable efforts to obtain the approval of the authority. の場合、契約当事者Aは許可を取得できなくても、それだけでは義務を果たさなかったことにはなりません。
しかし、当局の許可を取得するために努力する義務を負います。

 

また、同じ契約書で契約当事者に義務を課す条項につき shall と will の双方を使うな、ということが良く言われます。
同じ契約書で条項によって shall または will を使い分けているということは何か理由があるはずであり、条項ごとに義務の程度に違いがあるからだ、違いがなければ使い分ける理由がない、よって、will を使った条項の義務の程度は弱い、または、契約違反(breach of the contract)の程度が軽い、との理屈を許すことになります。

 

例えば、契約解除事由として重大な契約違反(material breach)を列挙した契約書において、その条項の義務違反が重大な契約違反になる条項に will を使った場合、契約違反(breach of the contract)の程度が軽いから will を使用したのであるから、相手方当事者は解除権を持たないとの理屈を持ち出されるかも知れません。

 

このような主張を基に訴訟を起こされても、法的には、shall と will との意味の差はありませんが、訴訟外での無益な議論を回避する意味で shall と will との併用はお薦めできません。

 

また、自社が義務を負う条項には will を使い、相手方が義務を負う条項には shall を使うという高等テクニックを使う会社がありますが、これも上記のとおり両者は法的に意味の差はありませんので、気休めにしかなりません。

3.  Shall

Shall は上記のとおり、契約書で最も多用される助動詞ですが、その分、誤用が多いことも指摘されています。

 

契約書で使われる shall は、次の3つの誤った使い方をされることが多いと言われています。[1]

 

① ステイタスの記述

e.g. “Full capacity” shall have the following meaning … / shall mean …

②  未来の行為(action)や出来事(event)の記述

e.g. If …, the price shall be increased.

③ 無生物への義務の賦課

e.g. The remaining oil shall be sold by lessee.

これらは弁護士がドラフトした契約書でも良く目にする誤りですね。

自分が契約書の条項をドラフトしているときに shall を正しく使っているか否かを確認するには、その文章の shall を
“has a duty to” に置き換えられるか否かを考えると良いです。
そして、履行可能な者(capable actor)へ義務を課す文章に修正できるか否かを考えます。
できなければ、shallを使うべき文章ではないということです。

 

例えば、上記b)の条項は、shall を “has a duty to” に置き換えられないので、will に置き換えて、if …, the price will be
increased. と修正します。

また、上記c)の条項は、The remaining oil “has a duty to” be sold by lessee. と置き換えることは出来ませんが、
Lessee “has a duty to” sell the remaining oil. と置き換えられますので、以下のように修正します。

e.g. Lessee shall sell the remaining oil.

4.  Will

契約書に於いては、will は約束を発生させ、Shallと同様に、契約上の義務を発生させます。
このような使い方の場合、日常で使うような、単に将来の出来事や行為を意味する助動詞ではありません。

 

以下のような条項の場合、will を shallに替えても同じ意味です。

e.g. Landlord will clean and maintain all common areas.

 

5.  最後に

Will の場合、単なる将来の行為や出来事と解釈される可能性がなきにしもあらずであり、shallを正しく使えるならば、shallを使うべきだという人もいます。
一方、少数派ですが、willが単なる将来の行為や出来事と解釈されないように気を付けてさえいれば、用法が難しい shall を使うのは避けるべきであり、willを使うべきだという人もいます。

併用は避けるべきだとして、コモンローの弁護士達も我々日本人も、shall が厳格な義務を負うイメージで、will が柔らかいイメージであるのは共通のようですから、どちらを使うかは好みの問題と言えます。

 

[1] Legalwriting.net Wayne Schiess’s Legal-writing Blog. “shall” vs. “will”

斜木裕二
弁護士斜木 裕二
国際法律事務所、大手メーカー等の法務責任者を経て、2018年ベリーベスト法律事務所に入所。国際カルテルなどの競争法、国際・国内商取引一般、国家プロジェクト、M&A, JV会社設立等の国際投資案件、グローバルでのグループ子会社の法務体制やコンプライアンス体制、危機管理体制の構築などを手掛る。
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